19の2-01_配偶者に対する相続税額の軽減

 

【質疑内容】

配偶者に対する相続税額の軽減について説明してください。

 

【回答内容】

1 関係法令等

(1) 相続税法第19条の2《配偶者に対する相続税額の軽減》第1項は、被相続人の配偶者が当該被相続人からの相続又は遺贈により財産を取得した場合には、当該配偶者については、イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した残額があるときは、当該残額をもってその納付すべき相続税額とし、イに掲げる金額がロに掲げる金額以下であるときは、その納付すべき相続税額は、ないものとする旨規定しています。

イ 当該配偶者につき同法第15条《遺産に係る基礎控除》から第17条《各相続人等の相続税額》まで及び第19条《相続開始前7年以内に贈与があった場合の相続税額》の規定により算出した金額(第1号)

ロ 当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の総額に、次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額が当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額のうちに占める割合を乗じて算出した金額(第2号)

() 当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額に民法第900条《法定相続分》の規定による当該配偶者の相続分(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続分)を乗じて算出した金額(当該被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)が当該配偶者のみである場合には、当該合計額)に相当する金額(当該金額が1億6,000万円に満たない場合には、1億6,000万円)(第2号イ)

() 当該相続又は遺贈により財産を取得した配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額(第2号ロ)

(2) 相続税法第19条の2第2項本文は、同条第1項の相続又は遺贈に係る同法第27条《相続税の申告書》の規定による申告書の提出期限(以下「申告期限」といいます。)までに、当該相続又は遺贈により取得した財産の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によってまだ分割されていない場合における同法第19条の2第1項の規定の適用については、その分割されていない財産は、同項第2号ロの課税価格の計算の基礎とされる財産に含まれないものとする旨規定し、そのただし書は、その分割されていない財産が申告期限から3年以内(当該期間が経過するまでの間に当該財産が分割されなかったことにつき、当該相続又は遺贈に関し訴えの提起がされたことその他の政令で定めるやむを得ない事情がある場合において、政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは、当該財産の分割ができることとなった日として政令で定める日の翌日から4月以内)に分割された場合には、その分割された財産については、この限りでない旨規定しています。

(3) 相続税法第19条の2第3項は、同条第1項の規定は、同法第27条の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書及びこれらの申告書に係る修正申告書を含みます。)又は国税通則法第23条《更正の請求》第3項に規定する更正請求書に、相続税法第19条の2第1項の規定の適用を受ける旨及び同項各号に掲げる金額の計算に関する明細の記載をした書類その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する旨規定しています。

 

2 回答

(1) 配偶者に対する相続税額の軽減の概要

相続税法第19条の2第1項に規定する配偶者に対する相続税額の軽減(以下、「配偶者税額軽減」といいます。)は、①同一世代間における財産の移転であること、②配偶者は被相続人の遺産の形成に寄与していること及び③被相続人の死亡後における生存配偶者の生活保障を考慮する必要があることなどにより設けられているもので、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、①1億6,000万円と②配偶者の法定相続分相当額の金額のいずれか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。

なお、配偶者税額軽減の規定は、相続又は遺贈により財産を取得した者が被相続人の配偶者であれば、無制限納税義務者であると制限納税義務者であるとを問わず適用することができますが、婚姻の届出をした者に限られていることから、いわゆる内縁関係にある者は、配偶者税額軽減の規定を適用することはできません。また、配偶者税額軽減の制度の対象となる財産には、隠蔽又は仮装されていた財産は含まれません。

(2) 分割要件

配偶者税額軽減は、相続税法第19条の2第2項の規定により、分割要件が付されていることから、相続税の申告期限までに分割されていない財産は配偶者税額軽減の適用を受けることはできません。

ただし、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で相続税の申告書を提出し、その後、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、相続税法第32条《更正の請求の特則》第1項又は国税通則法第23条第1項の規定に基づき更正の請求をすることにより、配偶者税額軽減の規定の適用を受けることができます。

なお、相続税の申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたときも、配偶者税額軽減の対象となります。

 

【参考】

1 相続税法第19条の2の規定は、昭和47年法律第78号により、配偶者の税負担の軽減措置の拡大が行われ、併せて、申告期限内に配偶者がその相続又は遺贈により実際に取得した財産ついて適用することとされ、申告期限内に分割できなかったことについて、相続又は遺贈に関する訴訟の提起など遺産の分割ができないやむを得ない事情がある場合には、分割できることとなった日の翌日から4か月以内に分割して配偶者が取得すればこの措置の適用を認めることとされました。すなわち、未分割財産についての適用が除外され分割要件が加えられました。

そして、この分割要件に関し、昭和47年政令第229号により相続税法施行令第4条の2《配偶者に対する相続税額の軽減の場合の財産分割の特例》及び同年大蔵令第56号により相続税法施行規則第1条の6《配偶者に対する相続税額の軽減の特例の適用を受ける場合の記載事項等》が追加され、また、昭和47年直資2-130により、相続税法基本通達19の2-4《配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額の計算の基礎とされる財産》ないし19の2-7《配偶者の税額軽減額の計算方法》、19の2-8《分割の意義》ないし19の2-10《申立ての時に訴えの提起がされたものとみなされるとき》及び32-2《法第19条の2第2項ただし書の規定に該当したことによる更正の請求の期限》が追加されました。

 

2 また、更正の請求の事由は、納税申告書に記載した課税標準等又は税額等の「計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと」又は「計算に誤りがあったこと」により税額が過大であった場合等とされています(国税通則法第23条第1項)。

しかしながら、当初申告時に選択した場合に限り適用が可能な相続税法に規定する①配偶者に対する相続税額の軽減(旧相続税法第19条の2)、②贈与税の配偶者控除(旧相続税法第21条の6)及び③相続税額から控除する贈与税相当額等(旧相続税法施行令第4条第2項)の3つの当初申告要件が設けられていた措置については、当初申告時に選択がされていない場合には、更正の請求によって、事後的に当初申告時に遡って当該措置を適用することはできないこととされていました。

この点について、平成23年法律第114号による改正により、当初申告要件がある措置のうち、当該措置の目的・効果や課税の公平の観点から、事後的な適用を認めても問題がないものとして、①インセンティブ措置及び②利用するかしないかで有利にも不利にもなる操作可能な措置のいずれにも該当しない措置については、当初申告要件を廃止し、所要の書類を添付することにより事後的に更正の請求を認めることとされました。

 

 

作成日:令和7年9月24