86-02_貸駐車場として利用している土地の評価

 

【質疑内容】

貸駐車場として利用している土地の評価に当たって、賃借権の価額を控除することができますか。

 

【回答内容】

1 関係法令等

(1) 財産評価基本通達(以下「評価通達」といいます。)82《雑種地の評価》jの本文は、雑種地の価額は、原則として、その雑種地と状況が類似する付近の土地について評価通達の定めるところにより評価した1㎡当たりの価額を基とし、その土地とその雑種地との位置、形状等の条件の差を考慮して評定した価額に、その雑種地の地積を乗じて計算した金額によって評価する旨定めています。

(2) 評価通達86《貸し付けられている雑種地の評価》の(1)は、賃借権の目的となっている雑種地の価額は、原則として、評価通達82《雑種地の評価》から評価通達84《鉄軌道用地の評価》までの定めにより評価した雑種地の価額(以下「自用地としての価額」といいます。)から、評価通達87《賃借権の評価》の定めにより評価したその賃借権の価額を控除した金額によって評価する旨定め、そのただし書は、その賃借権の価額が、次に掲げる賃借権の区分に従いそれぞれ次に掲げる金額を下回る場合には、その雑種地の自用地としての価額から次に掲げる金額を控除した金額によって評価する旨定めています。

イ 地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権(例えば、賃借権の登記がされているもの、設定の対価として権利金その他の一時金の授受のあるもの、堅固な構築物の所有を目的とするものなどがこれに該当する。)

その雑種地の自用地としての価額に、その賃借権の残存期間に応じ次に掲げる割合を乗じて計算した金額

() 残存期間が5年以下のもの 100分の5

() 残存期間が5年を超え10年以下のもの 100分の10

() 残存期間が10年を超え15年以下のもの 100分の15

() 残存期間が15年を超えるもの 100分の20

ロ イに該当する賃借権以外の賃借権

その雑種地の自用地としての価額に、その賃借権の残存期間に応じイに掲げる割合の2分の1に相当する割合を乗じて計算した金額

(3) 評価通達87《賃借権の評価》の本文は、雑種地に係る賃借権の価額は、原則として、その賃貸借契約の内容、利用の状況等を勘案して評定した価額によって評価する旨定め、そのただし書は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところにより評価することができるものとする旨定めています。

イ 地上権に準ずる権利として評価することが相当と認められる賃借権(例えば、賃借権の登記がされているもの、設定の対価として権利金その他の一時金の授受のあるもの、堅固な構築物の所有を目的とするものなどがこれに該当する。)の価額は、その雑種地の自用地としての価額に、その賃借権の残存期間に応じその賃借権が地上権であるとした場合に適用される相続税法第23条《地上権及び永小作権の評価》若しくは地価税法第24条《地上権及び永小作権の評価》に規定する割合(以下「法定地上権割合」という。)又はその賃借権が借地権であるとした場合に適用される借地権割合のいずれか低い割合を乗じて計算した金額によって評価する。

ロ イに掲げる賃借権以外の賃借権の価額は、その雑種地の自用地としての価額に、その賃借権の残存期間に応じその賃借権が地上権であるとした場合に適用される法定地上権割合の2分の1に相当する割合を乗じて計算した金額によって評価する。

 

2 裁判例等

国税不服審判所平成301119日裁決は、要旨、次のとおり判断しています。

(1) 土地の所有者が、その土地をそのままの状態で、又はその土地に設備を施して貸駐車場を経営することは、その土地で一定の期間、自動車を保管することを引き受けることであり、このような自動車を保管することを目的とする契約は、土地の利用そのものを目的とした賃貸借契約とは本質的に異なる権利関係であるといえ、この場合の駐車場の利用権は、その契約期間に関係なく、その土地自体に及ぶものではないから、貸駐車場として利用されている土地は、自用地価額により評価するものと解される。

これを本件駐車場土地についてみると、本件駐車場土地は、本件被相続人が、アスファルト及びフェンスを設置した上で、第三者との間で締結した駐車場使用契約に基づき、月ぎめ駐車場の敷地の用に供されていたものであり、当該契約は、第三者に対して構築物等の設置を認めるなど、土地の利用そのものを目的とした賃貸借契約とは認められない。

したがって、本件被相続人は、本件駐車場土地にアスファルト等の設備を施して、貸駐車場を経営していたものであり、本件駐車場土地に係る賃貸借契約は、一定の期間、自動車を保管することを目的とする契約とみるのが相当であるから、本件駐車場土地は自用地価額により評価すべきであり、本件駐車場土地を評価する上で、賃借権の価額を控除することはできない。

(2) 請求人らは、本件駐車場土地について締結されている賃貸借契約は、土地そのものの利用を約したもので、制限なく更新が可能なものであり、本件駐車場土地は自動車を保管しているのではないから、本件駐車場土地を評価する上で、賃借権の価額を控除すべきである旨主張する。

しかしながら、本件被相続人は、本件駐車場土地にアスファルト及びフェンスを設置した上で、貸駐車場を経営していたところ、このことは、本件駐車場土地で、一定の期間、自動車を保管することを引き受けることを意味する。そして、自動車を保管する以上は、一定の範囲の土地を事実上利用させることにはなるものの、それは、保管を引き受けることに伴う必然的な結果にすぎず、土地の利用そのものを目的とするものではない。すなわち、本件駐車場土地の利用権は、その土地自体に及ぶものではなく、その点で、土地の利用そのものを目的とした賃貸借契約とは本質的に異なるというべきである。

そうすると、本件駐車場土地について締結されている賃貸借契約が制限なく更新が可能であるものであったとしても、本件駐車場土地は自用地価額により評価するのが相当であるから、請求人らの主張には理由がない。

 

3 回答

上記2のとおり、貸駐車場として利用している土地の評価に当たって、賃借権の価額を控除することができるか否かについては、貸駐車場としての賃貸借契約が、借主に対して構築物等の設置を認めるなど、土地の利用そのものを目的とした賃貸借契約と認められる場合には、賃借権の価額を控除することができますが、そうでない場合には、賃借権の価額を控除することはできません。

 

 

作成日:令和7年9月24