【質疑内容】
1 事実関係
(1) 甲は、令和X年中に自己の居住用財産を譲渡し、租税特別措置法(以下「措置法」といいます。)第35条第1項に規定する居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例(以下「本件特例」といいます。)を適用して、令和X年分の所得税及び復興特別所得税(以下、これらを併せて「所得税等」といいます。)の確定申告書を法定申告期限までに提出しました(措置法第35条第1項等の要件を充足し、適法に申告されたものです。)。
(2) 甲は、令和X+1年中に新たに自己の居住用財産を取得したところ、措置法第41条《住宅の取得等をした場合の所得税額の特別控除》第1項に規定する住宅取得等特別控除を適用した方が有利となることを知りました。
2 質疑事項
甲は、本件特例の適用を自己否認した上で、令和X年分の所得税等の修正申告書を提出し、住宅取得等特別控除を適用して、令和X+1年分の所得税等の確定申告書を提出することを考えていますが、これらのことは認められますか。
【回答内容】
1 関係法令等
(1) 国税通則法(以下「通則法」といいます。)第19条《修正申告》第1項柱書及び同項第1号は、納税申告書を提出した者は、先の納税申告書の提出により納付すべきものとしてこれに記載した税額に不足額があるときには、その申告について同法第24条《更正》の規定による更正があるまでは、その申告に係る課税標準等又は税額等を修正する納税申告書を税務署長に提出することができる旨規定しています。
(2) 措置法第35条第1項は、個人の有する資産が、居住用財産を譲渡した場合に該当することとなった場合には、譲渡所得の金額の計算上、3,000万円(当該資産の譲渡に係る譲渡所得の金額が3,000万円に満たない場合には当該資産の譲渡に係る部分の金額)の特別控除が適用される旨規定し、同条第2項第1号は、居住用財産を譲渡した場合とは、その居住の用に供している家屋で政令で定めるもの(以下「居住用家屋」といいます。)の譲渡又は居住用家屋とともにするその敷地の用に供されている土地若しくは当該土地の上に存する権利の譲渡をいう旨規定しています。
また、措置法第35条第12項は、同条第1項の規定は、その適用を受けようとする者の同項に規定する資産の譲渡をした日の属する年分の確定申告書に、同項の規定の適用を受けようとする旨その他の財務省令で定める事項の記載があり、かつ、当該譲渡による譲渡所得の金額の計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する旨規定しています。
(3) 措置法第41条第1項は、個人が、国内において、居住用家屋の新築等、買取再販住宅の取得、既存住宅の取得又はその者の居住の用に供する家屋で政令で定めるものの増改築等をして、これらの家屋をその者の居住の用に供した場合において、その者が当該住宅の取得等に係る次に掲げる借入金又は債務の金額を有するときは、当該居住の用に供した日の属する年(以下「居住年」という。)以後10年間の各年のうち、その者のその年分の所得税に係るその年の所得税法第2条《定義》第1項第30号の合計所得金額が2,000万円以下である年については、その年分の所得税の額から、住宅借入金等特別税額控除額を控除する旨規定しています。
また、措置法第41条第24項は、同条第1項の規定は、個人が、同項の居住用家屋若しくは既存住宅若しくは増改築等をした家屋の当該増改築等に係る部分をその居住の用に供した日の属する年分の所得税について措置法第35条第1項、第36六条の2、第36条の5若しくは第37条の5の規定の適用を受ける場合又はその居住の用に供した日の属する年の前年分若しくは前々年分の所得税についてこれらの規定の適用を受けている場合には、当該個人の措置法第41条第1項に規定する10年間の各年分の所得税については、適用しない旨規定しています。
2 回答
(1) 通則法第19条第1項第1号は、納税申告書を提出した者は、先の納税申告書の提出により納付すべきものとしてこれに記載した税額に不足額がある場合には、更正があるまでは、その申告に係る課税標準等又は税額等を修正する納税申告書(いわゆる修正申告書)を提出することができる旨規定しています。
措置法第35条第1項、第2項及び第12項の規定によれば、個人が居住用財産を譲渡した場合に、居住用財産の特別控除の適用を受けるか否かは、納税者の選択に委ねられています。
措置法第41条第24項は、住宅取得等特別控除の適用を受ける年分の所得税について、居住用財産の特別控除の適用を受ける場合又はその年分の前年分又は前々年分の所得税についてその適用を受けている場合には、住宅取得等特別控除を適用しない旨規定しています。
そして、一定の税務処理に当たって、その計算方法が二つ以上あり、そのいずれを採用するかを納税者の選択に委ねている場合には、税務計算はその選択した方法に従って行うこととなるため、一旦納税者がその選択した計算方法により確定申告書を提出した以上、修正申告書によってその適用を受けない旨の変更をすることはできないと解されています。
(2) そうすると、甲の本件特例の適用を受ける旨記載した令和X年分の所得税等の確定申告書は、本件特例の適用要件を具備した適法なものであるから、甲がそれを適法に提出している以上、その後において修正申告書によってその適用を受けない旨に変更することはできません。
作成日:令和7年9月24日
