相続税対策(基礎控除)

1 相続税の基礎控除

(1) 相続税法第15条《遺産に係る基礎控除》第1項は、相続税の総額を計算する場合においては、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格(同法第19条《相続開始前7年以内に贈与があった場合の相続税額》の規定の適用がある場合には、同条の規定により相続税の課税価格とみなされた金額)の合計額から、3,000万円と600万円に当該被相続人の相続人の数を乗じて算出した金額との合計額(以下「遺産に係る基礎控除額」といいます。)を控除する旨規定しています。

(2) 相続税法第15条第2項は、同条第1項の相続人の数は、同項に規定する被相続人の民法第5編《相続》第2章《相続人》の規定による相続人の数(当該被相続人に養子がある場合の当該相続人の数に算入する当該被相続人の養子の数は、次に掲げる場合の区分に応じ次に定める養子の数に限るものとし、相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人の数とします。)とする旨規定しています。

イ 当該被相続人に実子がある場合又は当該被相続人に実子がなく、養子の数が1人である場合には、1人(第1号)

ロ 当該被相続人に実子がなく、養子の数が2人以上である場合には、2人(第2号)

(3) 相続税法第15条第3項は、同条第2項の規定の適用については、次に掲げる者は実子とみなす旨規定しています。

イ 民法第817条の2《特別養子縁組の成立》第1項に規定する特別養子縁組による養子となった者、当該被相続人の配偶者の実子で当該被相続人の養子となった者その他これらに準ずる者として政令で定める者(第1号)

ロ 実子若しくは養子又はその直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失ったため民法第5編第2章の規定による相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)となったその者の直系卑属(第2号)

 

2 相続税の基礎控除の活用

(1) 相続税の計算における遺産に係る基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。

また、上記の「法定相続人の数」は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいい、法定相続人の中に養子がいる場合には、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。

なお、①被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている者、②被相続人の配偶者の実子で被相続人の養子となっている者、③被相続人と配偶者の婚姻前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた者で、被相続人と配偶者の婚姻後に被相続人の養子となった者及び④被相続人の実子、養子又は直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったため、その実子などに代わって相続人となった直系卑属は、実子として取り扱われるため、法定相続人の数に含まれます。

(2) 例えば、相続人が配偶者及び子2人の合計3人の場合、遺産に係る基礎控除額は、「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」となりますが、孫1人を養子とした場合の遺産に係る基礎控除額は、「3,000万円+600万円×4人=5,400万円」となり、遺産に係る基礎控除額を600万円増やすことができ、課税される遺産の総額(課税遺産総額)を減らすことができます。

ただし、相続税法第63条《相続人の数に算入される養子の数の否認》の規定により、養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合には、その原因となる養子の数は、上記(1)の養子の数に含めることはできません(この点については、相続税に係る質疑事例「相続人の数に算入される養子の数の否認」を参照してください。)。

 

作成日:令和7年9月24