19の3-01_未成年者控除

 

【質疑内容】

未成年者控除について説明してください。

 

【回答内容】

1 関係法令等

(1) 相続税法第19条の3《未成年者控除》第1項は、相続又は遺贈により財産を取得した者(同法第1条の3《相続税の納税義務者》第1項第3号又は第4号の規定に該当する者を除きます。)が当該相続又は遺贈に係る被相続人の民法第5編《相続》第2章《相続人》の規定による相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)に該当し、かつ、18歳未満の者である場合においては、その者については、相続税法第15条《遺産に係る基礎控除》から第19条の2《配偶者に対する相続税額の軽減》までの規定により算出した金額から10万円にその者が18歳に達するまでの年数(当該年数が1年未満であるとき、又はこれに1年未満の端数があるときは、これを1年とします。)を乗じて算出した金額を控除した金額をもって、その納付すべき相続税額とする旨規定しています。

(2) 相続税法第19条の3第2項は、同条第1項の規定により控除を受けることができる金額がその控除を受ける者について同法第15条から第19条の2までの規定により算出した金額を超える場合においては、その超える部分の金額は、政令で定めるところにより、その控除を受ける者の扶養義務者が同項の被相続人から相続又は遺贈により取得した財産の価額について同法第15条から第19条の2までの規定により算出した金額から控除し、その控除後の金額をもって、当該扶養義務者の納付すべき相続税額とする旨規定しています。

(3) 相続税法第19条の3第3項は、同条第1項の規定に該当する者がその者又はその扶養義務者について既に同条第1項及び第2項の規定による控除を受けたことがある者である場合においては、その者又はその扶養義務者がこれらの規定による控除を受けることができる金額は、既に控除を受けた金額の合計額が同条第1項の規定による控除を受けることができる金額(2回以上これらの規定による控除を受けた場合には、最初に相続又は遺贈により財産を取得した際に同項の規定による控除を受けることができる金額)に満たなかった場合におけるその満たなかった部分の金額の範囲内に限る旨規定しています。

(4) 相続税法施行令第4条の3《扶養義務者の未成年者控除》柱書は、相続税法第19条の3第2項の規定による控除を受けることができる扶養義務者が2人以上ある場合においては、各扶養義務者が同項の規定による控除を受けることができる金額は、次に掲げる場合の区分に応じ、次に定める金額とする旨規定しています。

イ 扶養義務者の全員が、協議によりその全員が控除を受けることができる金額の総額を各人ごとに配分してそれぞれその控除を受ける金額を定め、当該控除を受ける金額を記載した相続税法第27条《相続税の申告書》又は第29条《相続財産法人に係る財産を与えられた者等に係る相続税の申告書》の規定による申告書(これらの申告書に係る期限後申告書を含みます。)を提出した場合には、これらの申告書に記載した金額(第1号)

ロ イに掲げる場合以外の場合には、扶養義務者の全員が控除を受けることができる金額の総額を、各人が相続税法第19条の3第2項に規定する相続又は遺贈により取得した財産の価額につき同法第15条から第19条の2までの規定により算出した金額によりあん分して計算した金額(第2号)

(5) 相続税法基本通達19の3-5《法第19条の3第3項に規定する「第1項の規定による控除を受けることができる金額」の意義》の本文は、相続税法第19条の3第3項に規定する「第1項の規定による控除を受けることができる金額」とは、相続又は遺贈により財産を取得した者(制限納税義務者を除きます。)が当該相続(以下「今回の相続」といいます。)の前に開始した相続(当該開始した相続が2回以上あった場合には、最初の相続。以下同じ。)によって財産を取得した際に控除することができる未成年者控除額をいうのであるから留意する旨定め、その注書は、上記の「控除することができる未成年者控除額」は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める年数1年につき10万円の割で計算することに留意する旨定めています。

イ 今回の相続が平成27年1月1日から令和4年3月31日までの間に開始したものである場合には、今回の相続の前に開始した相続の際のその者が20歳に達するまでの年数

ロ 今回の相続が令和4年4月1日以後に開始したものである場合には今回の相続の前に開始した相続の際のその者が18歳に達するまでの年数

 

2 回答

(1) 未成年者控除の概要

相続人が被相続人の相続開始日において18歳未満の未成年者のときは、相続税の額から一定の金額を未成年者控除として差し引くことができます。

(2) 未成年者控除の適用要件

未成年者控除を適用することができる者は、次の全ての要件に該当する者です。

居住無制限納税義務者又は非居住無制限納税義務者であること、すなわち、相続又は遺贈により財産を取得したときに日本国内に住所がある者(一時居住者で、かつ、被相続人が外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)又は②相続又は遺贈により財産を取得したときに日本国内に住所がない者であっても次のいずれかに当てはまる者であること

() 日本国籍を有しており、かつ、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがある者

() 日本国籍を有しており、かつ、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがない者(被相続人が、外国人被相続人または非居住被相続人である場合を除きます。)

() 日本国籍を有していない人(被相続人が、外国人被相続人、非居住被相続人または非居住外国人である場合を除きます。)

相続又は遺贈により財産を取得したときに18歳未満の者であること

相続又は遺贈により財産を取得した者が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること。

(3) 未成年者控除額

イ 未成年者控除額は、その未成年者が満18歳になるまでの年数(1年未満であるとき又は1年未満の端数があるときは、1年として計算します。)1年につき10万円で計算した額となります。

ロ 未成年者控除額が、その未成年者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れない場合には、その引き切れない部分の金額をその未成年者の扶養義務者(配偶者、直系血族及び兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち一定の者をいいます。)の相続税額から差し引くことができます。この場合、扶養義務者が2人以上ある場合において、①扶養義務者の全員が、協議によりその全員が控除を受けることができる金額の総額を各人ごとに配分してそれぞれその控除を受ける金額を定め、当該控除を受ける金額を記載した相続税の申告書を提出した場合には、当該申告書に記載した金額、それ以外の場合には、扶養義務者の全員が控除を受けることができる金額の総額を、各人が相続税法第19条の3第2項に規定する相続又は遺贈により取得した財産の価額につき同法第15条から第19条の2までの規定により算出した金額によりあん分して計算した金額となります。

ハ 未成年者が2回以上相続した場合には、それぞれ未成年者控除の適用を受けることができますが、2回目以降の相続の際の控除額は、その相続の際に相続税法第19条の3第1項の規定により計算した未成年者控除額のうち、最初の相続の際に計算した未成年者控除額から既往の相続の際に本人及びその扶養義務者が実際に控除を受けた金額を控除した残額、すなわち、現在までの控除不足額の範囲内に限って控除を受けることができることとされています。

具体的には、①今回の相続において、満18歳(令和4年3月31日以前は満20歳)に達するまでの年数に10万円を乗じた金額と②前の相続の際に満18歳(令和4年3月31日以前は満20歳)に達するまでの年数に10万円を乗じた金額から前の相続の際にその者及びその者の扶養義務者の相続税額を控除した金額のいずれか少ない金額が、今回の相続に係る控除可能額となります。

(4) 留意事項

イ 制限納税義務者であっても、その相続に係る被相続人がアメリカ合衆国の国籍を有していた場合又はアメリカ合衆国に住所を有していたときは、その未成年者については、「遺産、相続及び贈与に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約」の規定により、未成年者控除の適用を受けることができます。この場合、未成年者控除の適用を受けるためには、相続税の申告書に、次の事項を記載した届出書を添付しなければならないこととされています。

() その未成年者及び被相続人の氏名、年齢、国籍及び住所

() 通常のとおり計算した未成年者控除額及び我が国にある相続財産の取得額に対応する控除額及びその計算の基礎

() その他参考となるべき事項

ロ 未成年者控除は、未成年者が、相続又は遺贈により財産を全く取得していない場合には適用が受けられませんが、未成年者が相続又は遺贈により財産を取得している場合には、未成年者控除前の税額が零円のときであっても、未成年者控除額は、その者の扶養義務者の相続税額から控除することができます。

 

 

作成日:令和7年9月24