92-02_庭園設備の評価

 

【質疑内容】

庭園設備の評価について説明してください。

 

【回答内容】

1 関係法令等

(1) 相続税法関係

相続税法第22条《評価の原則》は、同法第三章《財産の評価》で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価による旨規定しています。

(2) 財産評価基本通達(以下「評価通達」といいます。)関係

評価通達92《附属設備等の評価》の(3)は、庭園設備(庭木、庭石、あずまや、庭池等をいいます。)の価額は、その庭園設備の調達価額(課税時期においてその財産をその財産の現況により取得する場合の価額をいいます。以下同じ。)の100分の70に相当する価額によって評価する旨定めています。(以下、評価通達92(3)の定めを「本件通達」といいます。)。

 

2 裁判例等

国税不服審判所令和5年3月7日裁決(以下「本件裁決」といいます。)は、自宅の庭園設備も、本件通達に定める「庭園設備」として評価することが相当であると判断したもので、被相続人の自宅の庭園(以下、項番2において「本件庭園設備」といいます。)について、個人宅の庭であり、その立地条件等からしても本件庭園設備を一体として売却できず、また、立木や庭石、灯篭等を個別に売却するとしても買取り価額は低額である上、実際に買手が見つからないことから、交換価値がなく評価通達は適用されない旨主張する審査請求人に対し、要旨、次のとおり判断しています。

(1) 相続税法第22条にいう時価及び評価通達について

相続税法第22条は、同法第3章において特別の定めがあるものを除くほか、相続等により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価による旨を定めているところ、ここにいう時価とは、当該財産の客観的な交換価値をいうものと解される。

ところで、相続税法は、地上権及び永小作権の評価(相続税法第23条)、定期金に関する権利の評価(相続税法第24条、第25条)及び立木の評価(相続税法第26条)を除き、財産の評価方法について定めを置いていないところ、課税実務においては、評価通達において財産の価額の評価に関する一般的な基準を定めて、画一的な評価方法によって相続等により取得した財産の価額を評価することとされている。このような方法が採られているのは、相続税等の課税対象である財産には多種多様なものがあり、その客観的な交換価値が必ずしも一義的に確定されるものではないため、相続等により取得した財産の価額を上記のような画一的な評価方法によることなく個別事案ごとに評価することにすると、その評価方法、基礎資料の選択の仕方等により異なった金額が時価として導かれる結果が生ずることを避け難く、また、課税庁の事務負担が過重なものとなり、課税事務の効率的な処理が困難となるおそれもあることから、相続等により取得した財産の価額をあらかじめ定められた評価方法によって画一的に評価することとするのが相当であるとの理由に基づくものと解される。このような課税実務は、評価通達の定める評価方法が相続等により取得した財産の取得の時における適正な時価を算定する方法として合理的なものであると認められる限り、納税者間の公平、納税者の便宜、効率的な徴税といった租税法律関係の確定に際して求められる種々の要請を満たし、国民の納税義務の適正な履行の確保(国税通則法第1条、相続税法第1条)に資するものとして、相続税法第22条の規定の許容するところであると解される。

そして、評価対象の財産に適用される評価通達の定める評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有する場合においては、同通達の定める評価方法が形式的に全ての納税者に係る全ての財産の価額の評価において用いられることによって、基本的には、実質的な租税負担の公平を実現することができるものと解されるのであって、相続税法第22条の規定も租税法上の一般原則としての平等原則を当然の前提としていることに照らせば、特定の納税者あるいは特定の財産についてのみ、同通達の定める評価方法以外の評価方法によってその価額を評価することは、原則として許されないものというべきである。

その上で、評価対象財産に適用される評価通達の定める方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものであり、かつ、当該財産の相続税の課税価格がその評価方法に従って決定された場合には、相続財産の価額は、同通達の定める方法を画一的に適用することによって、当該財産の時価を超える評価額となり、適正な時価を求めることができない結果となるなど、同通達の定める方法によるべきではない特別の事情がない限り、同通達の定める方法によって評価するのが相当であり、同通達の定める方法に従い算定された評価額をもって当該財産の適正な時価を上回るものではないと事実上推認することができるものというべきである。

(2) 庭園設備の評価について

本件通達は、庭園設備の評価方法として、庭園設備の価額は、その庭園設備の調達価額(課税時期においてその財産をその財産の現況により取得する場合の価額をいう。)の100分の70に相当する価額によって評価する旨定めている。

本件通達の趣旨は、家屋の評価については、評価通達89《家屋の評価》において、その家屋の固定資産税評価額(地方税法第381条《固定資産課税台帳の登録事項》の規定により家屋課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に登録された基準年度の価格又は比準価格をいう。)に別に定める倍率(1.0)を乗じて計算した金額によって評価する旨定めているところ、庭園設備については、家屋の固定資産税評価額に含まれていないことから、金銭に見積もることができる経済的価値のある全てのものが相続税法に規定する財産であることに照らし、庭園設備を家屋とは別に独立した財産として評価すべきであるとしたものと解するのが相当である。

また、この場合の「調達価額」とは、課税時期においてその財産をその財産の現況により取得する場合の価額をいうのであるから、その財産と同じ状態において同様のものを取得する場合の価額であると解するのが相当であり、例えば、庭石については、庭石商の店頭価額ではなく、課税時期において存する庭先への搬入費、据付費等をも含めた価額によるものと解され、本件通達が調達価額を基に庭園設備の価額を評価する方法を採っていることは、一般的な合理性を肯定することができるものであり、当審判所もこれを相当と認める。

 

3 回答

(1) 庭園設備に関する裁判例や裁決例はほぼありませんでしたが、令和5年3月7日に本件裁決が公表裁決として示されました。

本件裁決の内容をみると、金銭に見積もることができる経済的価値のある全てのものが相続税法に規定する財産であるから、金銭に見積もることができる経済的価値のある庭木、庭石、あずまや、庭池等の庭園設備(すなわち、調達価額が算出される庭園設備)は、自宅の庭園設備であるか否か、観覧料などを徴収できるような規模のものであるか否かなどに関わりなく、本件通達(評価通達92(3))に該当し、評価通達の定める方法によるべきではない特別の事情がない限り、評価通達の定める方法によって評価するのが相当であり、評価通達の定める方法に従い算定された評価額をもって当該財産の適正な時価を上回るものではないと事実上推認することができると判断したものと考えられます。

そして、金銭に見積もることができる庭園設備を評価しない又は零円と評価するような場合には、評価通達に基づかない申告として、納税者が評価通達の定める方法によるべきではない特別の事情を主張・立証することになるものと考えられます。

(2) 以上のとおり、金銭に見積もることができる経済的価値のある庭木、庭石、あずまや、庭池等の庭園設備は、自宅の庭園設備であるか否か、観覧料などを徴収できるような規模のものであるか否かなどに関わりなく、本件通達(評価通達92(3))に該当し、その庭園設備の調達価額の100分の70に相当する価額によって評価することになるものと考えられます。

 

 

作成日:令和7年9月24