【質疑内容】
市街化調整区域に所在する雑種地の評価について説明してください。
【回答内容】
1 関係法令等
(1) 財産評価基本通達(以下「評価通達」といいます。)
イ 財産評価基本通達(以下「評価通達」といいます。)82《雑種地の評価》の本文は、雑種地の価額は、原則として、その雑種地と状況が類似する付近の土地(以下「比準土地」といいます。)についてこの通達の定めるところにより評価した1㎡当たりの価額を基とし、比準土地とその雑種地との位置、形状等の条件の差を考慮して評定した価額に、その雑種地の地積を乗じて計算した金額によって評価する旨定めています。
ロ 評価通達25《貸宅地の評価》の柱書は、宅地の上に存する権利の目的となっている宅地の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる旨定め、その(5)は、区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である宅地の価額は、その宅地の自用地としての価額から評価通達27-5《区分地上権に準ずる地役権の評価》の定めにより評価したその区分地上権に準ずる地役権の価額を控除した金額によって評価する旨定めています。
ハ 評価通達27-5の本文は、区分地上権に準ずる地役権の価額は、その区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である宅地の自用地としての価額に、その区分地上権に準ずる地役権の設定契約の内容に応じた土地利用制限率を基とした割合(以下「区分地上権に準ずる地役権の割合」といいます。)を乗じて計算した金額によって評価する旨、この場合において、区分地上権に準ずる地役権の割合は、①家屋の建築が全くできない場合には、100分の50又はその区分地上権に準ずる地役権が借地権であるとした場合にその承役地に適用される借地権割合のいずれか高い割合(評価通達27-5の(1))、②家屋の構造、用途等に制限を受ける場合には、100分の30(評価通達27-5の(2))とすることができるものとする旨定めています。
(2) 国税庁ホームページの質疑応答事例の「市街化調整区域内にある雑種地の評価」
国税庁ホームページの質疑応答事例の「市街化調整区域内にある雑種地の評価」には、市街化調整区域に所在する雑種地の評価に係る取扱いについて、要旨、次のとおり掲載されています(以下、当該取扱いを「本件取扱い」といいます。)。(https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/04/38.htm)
雑種地(ゴルフ場用地、遊園地等用地、鉄軌道用地を除きます。)の価額は、原則として、その雑種地の現況に応じ、評価対象地と状況が類似する付近の土地について評価した1㎡当たりの価額を基とし、その土地と評価対象地である雑種地との位置、形状等の条件の差を考慮して評定した価額に、その雑種地の地積を乗じて評価することとしています。
ところで、市街化調整区域内にある雑種地を評価する場合に、比準土地(下表においては比準地目)の判定をするときには、評価対象地の周囲の状況に応じて、下表により判定することになります。
また、付近の宅地の価額を基として評価する場合(宅地比準)における法的規制等(開発行為の可否、建築制限、位置等)に係るしんしゃく割合(減価率)は、市街化の影響度と雑種地の利用状況によって個別に判定することになりますが、下表のしんしゃく割合によっても差し支えありません。
(注)1 農地等の価額を基として評価する場合で、評価対象地が資材置場、駐車場等として利用されているときは、その土地の価額は、原則として、評価基本24-5《農業用施設用地の評価》に準じて農地等の価額に造成費相当額を加算した価額により評価します(ただし、その価額は宅地の価額を基として評価した価額を上回らないことに留意してください。)。
2 ③の地域は、線引き後に沿道サービス施設が建設される可能性のある土地(都市計画法第34条第9号、第43条第2項)や、線引き後に日常生活に必要な物品の小売業等の店舗として開発又は建築される可能性のある土地(都市計画法第34条第1号、第43条第2項)の存する地域をいいます。
3 都市計画法第34条第11号に規定する区域内については、上記の表によらず、個別に判定します。
2 裁決例等
国税不服審判所は、市街化調整区域に所在する雑種地の評価を評価する場合の比準土地について、要旨、次のとおり判断しています。
(1) 平成30年4月17日裁決
請求人らは、相続財産である市街化調整区域に所在する雑種地(本件各土地)の評価に当たり、本件各土地は、都市計画マスタープランにおいて営農保全地区とされているなど、宅地化への期待度が非常に低いことからすれば、評価通達82に定める「その雑種地と状況が類似する付近の土地」(比準土地)は農地と判定すべきである旨主張する。
しかしながら、本件各土地は、店舗等の建築が可能な幹線道路沿いにはなく、また、市街化区域との境界付近にあるとまではいえず、他方、その周囲が純農地、純山林、純原野でもないことから、一律に比準土地を定めるのが困難であるため、本件各土地の比準土地は、その周囲の状況を十分考慮した上で、個別に判定することとなるところ、相続の開始時において、①本件各土地は少なくとも市街化区域に近接しているとはいえること、②本件各土地の周囲には宅地が点在していること、③本件各土地は、建築基準法第42条《道路の定義》第1項に規定する道路に囲まれていること、④本件各土地は、いずれも農地法第5条《農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限》の転用許可を受けた後、30年以上農耕の用に供されておらず、また、砕石敷き又は太陽光発電設備が設置されており、宅地と同様の外観を呈していること及び⑤本件各土地の固定資産税評価額も、付近の宅地に比準して求める方法により算出されていることを併せ考慮すれば、本件各土地の比準土地は、いずれも宅地と判定すべきである。
(2) 令和元年7月24日裁決
請求人らは、相続財産である市街化調整区域に所在する雑種地(本件土地)の評価に当たり、本件土地の周囲では市街化が進行していないこと、本件土地は宅地としての開発許可が受けられず宅地に比準して評価されれば宅地としての利用可能価値が過大に組み入れられた価額となること等からすれば、評価通達82に定める「その雑種地と状況が類似する付近の土地」(比準土地)は農地と判定すべきである旨主張する。
しかしながら、本件土地は、店舗等の建築が可能な幹線道路沿いにはなく、かつ、その周囲が純農地、純山林、純原野でもないことから、一律に比準土地を定めるのが困難であるため、その比準土地は、周囲の状況を十分考慮した上で個別に判定することになるところ、相続開始時において、①本件土地は市街化区域に近接していること、②本件土地は鉄道の駅や高速道路のインターチェンジへの交通の利便性に優れ、建築基準法第42条第1項に規定する道路に接面していること、③本件土地の周囲は農地から農地以外への転用が進行しており、農地及び雑種地(駐車場、資材置場等)が混在し一部宅地が見られる地域となっていること、④本件土地は農地法第5条第1項の許可を受け、フットサルコートの施設の利用を目的として賃貸され、地盤が平坦に整備されていること、⑤本件土地の周囲の農地(農地法第5条の転用許可を受けたもの)について、宅地の価額に準じた売買実例がみられること及び⑥本件土地の固定資産税評価額が宅地に比準して求める方法により算出されていることを総合的に考慮すれば、本件土地と状況が類似する土地は宅地であると認められることから、その比準土地は宅地と判定すべきである。
(3) 令和元年10月23日裁決
請求人らは、相続財産である市街化調整区域内に存する雑種地(本件土地)の評価に当たり、本件土地の周囲には農地が多く、建築物を建築することができないことに加え、駐車場としているが借り手も少なく、農地としてしか利用できないことから、評価通達82《雑種地の評価》に定める「その雑種地と状況が類似する付近の土地」(比準土地)は農地と判定すべきである旨主張する。
しかしながら、本件土地は、店舗等の建築が可能な幹線道路沿いにはなく、かつ、その周辺が純農地、純山林、純原野でもないことから、一律に比準土地を定めるのが困難であるため、その比準土地は、周囲の状況を十分に考慮した上で個別に判定することになるところ、相続開始時において、①本件土地は大型団地を含む市街化区域に近接していること、②本件土地は北西側では一団の宅地と連たんし、半径がおおむね100mの距離の区域内には、幼稚園のほか、50戸を超える居宅等の建築物が存すること、③本件土地は農地法第4条《農地の転用の制限》の規定による転用の許可を受けて駐車場として使用されていること及び④本件土地の固定資産税評価額が宅地に比準して求める方法により算出されていることを併せ考慮すれば、本件土地と状況が類似する土地は宅地であると認められるから、その比準土地は宅地と判定すべきである。
3 回答
(1) 雑種地の評価について
雑種地とは、宅地から原野までの地目のいずれにも該当しない土地であり、例えば、遊園地、運動場、ゴルフ場、競馬場、飛行場、プール、変電所敷地、テニスコート、鉄塔敷地、水路敷地、坑口、やぐら敷地、煙道敷地、 木場(木ぼり)、鉄軌道用地等があり、その実態は様々であるところ、評価通達82の本文は、雑種地の価額は、比準土地(近傍にある状況が類似する土地)の評価額に比準する方式による旨定めています。
土地の価額は、一般的にその土地の最有効使用を前提として形成されるものと考えられ、また、その土地の最有効使用は、周辺の標準的な使用状況の影響を受けることから、比準土地、すなわち、評価対象地である雑種地と状況が類似する付近の土地(地目)の判定に当たっては、評価対象地の周囲の状況を十分考慮して判定するのが相当です。
そして、市街化調整区域に所在する雑種地の価額を評価する場合の比準土地の判定及び比準する場合のしんしゃく割合(減価率)について、本件取扱いは、次の考え方によっています。
(2) 本件取扱いについて
イ 周囲(地域)の状況が純農地、純山林、純原野の場合(本件取扱いの表の①の地域)
評価対象地である雑種地の周囲が純農地、純山林、純原野である場合には、これらの土地の価額は、基本的には、宅地化の期待益を含まないものであるため、その雑種地の評価に当たっては、付近の純農地、純山林又は純原野の価額を基として評価するのが相当と考えられます。付近の純農地、純山林又は純原野の価額を基として評価する場合には、そもそも宅地化を前提とする評価方法ではないため、しんしゃく割合を考慮する必要はありません。
なお、評価対象地が資材置場、駐車場等として利用されているときは、その土地の価額は、原則として、評価通達24-5《農業用施設用地の評価》に準じて、農地等の価額に造成費相当額を加算した価額(ただし、宅地に比準した価額を上回らない。)によって評価するのが相当と考えらます。
ロ 店舗等の建築が可能な幹線道路沿いや市街化区域との境界付近にある場合(本件取扱いの表の③の地域)
評価対象地である雑種地が幹線道路沿いや市街化区域との境界付近にある場合には、その付近に宅地が存在していることも多く、用途制限等があるにしても宅地化の可能性があることから、その雑種地の評価に当たっては、付近の宅地の価額を基として評価するのが相当であると考えられます。
ところで、評価通達27-5《区分地上権に準ずる地役権の評価》は、建築等の制限による減価率を定めており、①家屋の建築が全くできない場合の減価率は50%又は借地権割合のいずれか高い割合、②家屋の構造、用途等に制限を受ける場合の減価率は30%としています。
市街化調整区域に所在する雑種地が店舗等の建築が可能な幹線道路沿いや市街化区域との境界付近にある場合には、市街化の影響度が強く、有効利用度が高い雑種地の占める割合が高いと考えられ、市街化調整区域であっても法的規制が比較的緩やかであり、店舗等の建築であれば可能なケースも多い地域ということになることから、このような地域は、評価通達27-5の(2)に準じて、原則として家屋の構造、用途等に制限を受ける場合の減価率30%を「しんしゃく割合」とするのが相当であると考えられます。また、このような地域のうち、周囲に郊外型店舗等が建ち並ぶなど、雑種地であっても宅地価格と同等の価格で取引が行われている実態があると認められる場合には、しんしゃく割合は0%とするのが相当と考えられます。
ハ 上記イ又はロ以外の場合(本件取扱いの表の②の地域)
上記イ又はロ以外の場合には、雑種地の所在する場所により周囲の状況が様々であると考えられることから、一律に比準地目を定めることは難しく、また、実態に即した対応を阻害するという弊害を生ずることを考慮すれば、比準土地は周囲の状況により個別に判定するのが相当と考えられます。
なお、比準土地を宅地とする場合のしんしゃく割合は、この地域は、いわば一般的な市街化調整区域内の雑種地が存する地域であり、原則として、建物の建築が禁止されている区域であることなどを考慮すると、評価通達27-5の(1)に準じて、一律に50%とするのが相当と考えられます。
(3) 比準土地の判定基準
比準土地の判定基準について、市街化調整区域に所在する雑種地の周囲(地域)の状況が純農地、純山林、純原野の場合(本件取扱いの表の①の地域)又は当該雑種地が店舗等の建築が可能な幹線道路沿いや市街化区域との境界付近にある場合(本件取扱いの表の③の地域)には、その判定は、比較的容易であるものと考えられます。
しかしながら、上記以外の場合(本件取扱いの表の②の地域))には、その周囲の状況を十分考慮した上で、個別に判定することとなるため、困難となることが多くなるものと考えられます。
この場合、上記2の各裁決例を通覧すれば、その判定基準については、次に掲げる事項を総合的に勘案した上で判定するのが相当であるものと考えられます。
イ 市街化区域に近接しているか否か。
ロ 周囲に宅地が点在しているか否か。
ハ 建築基準法第42条《道路の定義》第1項に規定する道路に接面しているか否か。
ニ 農地法第4条《農地の転用の制限》又は農地法第5条《農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限》の転用許可の状況。
ホ 宅地と同様の外観を呈しているか否か。
ヘ 固定資産税評価額が付近の宅地に比準して求める方法により算出されているか否か。
作成日:令和7年9月24日
