(個・居)-01_居住用の区分所有財産の評価

 

【質疑内容】

居住用の区分所有財産の評価について説明してください。

 

【回答内容】

1 関係法令等

令和5年9月28日付課評2-74ほか「居住用の区分所有財産の評価について」(法令解釈通達)(以下「本件通達」といいます。)は、要旨、次のとおり定めています。

(1) 本件通達1《用語の意義》は、本件通達において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる旨定めています。

イ 評価基本通達とは、昭和39年4月25日付直資56ほか「財産評価基本通達」(法令解釈通達)をいう。

ロ 自用地としての価額とは、評価基本通達25《貸宅地の評価》(1)に定める「自用地としての価額」をいい、評価基本通達11《評価の方式》から22-3《大規模工場用地の路線価及び倍率》まで、24《私道の用に供されている宅地の評価》、24-2《土地区画整理事業施行中の宅地の評価》及び24-6《セットバックを必要とする宅地の評価》から24-8《文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地の評価》までの定めにより評価したその宅地の価額をいう。

ハ 自用家屋としての価額とは、評価基本通達89《家屋の評価》、89-2《文化財建造物である家屋の評価》又は92《附属設備等の評価》の定めにより評価したその家屋の価額をいう。

ニ 区分所有法とは、建物の区分所有等に関する法律をいう。

ホ 不動産登記法とは、不動産登記法をいう。

ヘ 不動産登記規則とは、不動産登記規則をいう。

ト 一棟の区分所有建物とは、区分所有者(区分所有法第2条《定義》第2項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する家屋(地階を除く階数が2以下のもの及び居住の用に供する専有部分(同条第3項に規定する専有部分をいう。以下同じ。)一室の数が3以下であってその全てを当該区分所有者又はその親族の居住の用に供するものを除く。)で、居住の用に供する専有部分のあるものをいう。

チ 一室の区分所有権等とは、一棟の区分所有建物に存する居住の用に供する専有部分一室に係る区分所有権(区分所有法第2条第1項に規定する区分所有権をいい、当該専有部分に係る同条第4項に規定する共用部分の共有持分を含む。以下同じ。)及び敷地利用権(同条第6項に規定する敷地利用権をいう。以下同じ。)をいう。

(注)一室の区分所有権等には、評価基本通達第6章《動産》第2節《たな卸商品等》に定めるたな卸商品等に該当するものは含まない。

リ 一室の区分所有権等に係る敷地利用権の面積とは、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める面積をいう。

() 一棟の区分所有建物に係る敷地利用権が、不動産登記法第44条《建物の表示に関する登記の登記事項》第1項第9号に規定する敷地権である場合は、一室の区分所有権等が存する一棟の区分所有建物の敷地(区分所有法第2条第5項に規定する建物の敷地をいう。以下同じ。)の面積に、当該一室の区分所有権等に係る敷地権の割合を乗じた面積(小数点以下第3位を切り上げる。)。

() 上記()以外の場合は、一室の区分所有権等が存する一棟の区分所有建物の敷地の面積に、当該一室の区分所有権等に係る敷地の共有持分の割合を乗じた面積(小数点以下第3位を切り上げる。)。

ヌ 一室の区分所有権等に係る専有部分の面積  当該一室の区分所有権等に係る専有部分の不動産登記規則第115条《建物の床面積》に規定する建物の床面積をいう。

ル 評価乖離率とは、次の算式により求めた値をいう。

評価乖離率=A+B+C+D+3.220

上記算式中の「A」、「B」、「C」及び「D」は、それぞれ次による。

「A」=当該一棟の区分所有建物の築年数×△0.033

「B」=当該一棟の区分所有建物の総階数指数×0.239(小数点以下第4位を切り捨てる。)

「C」=当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階×0.018

「D」=当該一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度×△1.195(小数点以下第4位を切り上げる。)

(注)1 「築年数」は、当該一棟の区分所有建物の建築の時から課税時期までの期間とし、当該期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。

2 「総階数指数」は、当該一棟の区分所有建物の総階数を33で除した値(小数点以下第4位を切り捨て、1を超える場合は1とする。)とする。この場合において、総階数には地階を含まない。

3 当該一室の区分所有権等に係る専有部分が当該一棟の区分所有建物の複数階にまたがる場合には、階数が低い方の階を「当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階」とする。

4 当該一室の区分所有権等に係る専有部分が地階である場合には、「当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階」は、零階とし、Cの値は零とする。

5 「当該一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度」は、当該一室の区分所有権等に係る敷地利用権の面積を当該一室の区分所有権等に係る専有部分の面積で除した値(小数点以下第4位を切り上げる。)とする。

ヲ 評価水準とは、1を評価乖離率で除した値とする。

(2) 本件通達2《一室の区分所有権等に係る敷地利用権の価額》の本文は、次に掲げる場合のいずれかに該当するときの一室の区分所有権等に係る敷地利用権の価額は、「自用地としての価額」に、次の算式による区分所有補正率を乗じて計算した価額を当該「自用地としての価額」とみなして評価基本通達(評価基本通達25並びに同項により評価する場合における評価基本通達27《借地権の評価》及び27-2《定期借地権等の評価》を除きます。)を適用して計算した価額によって評価する旨定め、そのただし書は、評価乖離率が零又は負数のものについては、評価しない旨定めています。

イ 評価水準が1を超える場合

区分所有補正率=評価乖離率

ロ 評価水準が0.6未満の場合

区分所有補正率=評価乖離率×0.6

(注)1 区分所有者が一棟の区分所有建物に存する全ての専有部分及び一棟の区分所有建物の敷地のいずれも単独で所有している場合には、「区分所有補正率」は1を下限とする。

2 評価乖離率を求める算式及び上記ロの値(0.6)については、適時見直しを行うものとする。

(3) 本件通達3《一室の区分所有権等に係る区分所有権の価額》の本文は、一室の区分所有権等に係る区分所有権の価額は、「自用家屋としての価額」に、上記(2)に掲げる算式((注)1を除きます。)による区分所有補正率を乗じて計算した価額を当該「自用家屋としての価額」とみなして評価基本通達を適用して計算した価額によって評価する旨定め、そのただし書は、評価乖離率が零又は負数のものについては、評価しない旨定めています。

 

2 回答

(1) 居住用の区分所有財産の評価方法の概要

本件通達において、区分所有者が存する家屋(地階を除く階数が2以下のもの及び居住の用に供する専有部分一室の数が3以下であってその全てを区分所有者等の居住の用に供するものを除きます。)で、居住の用に供する専有部分のあるもの(一棟の区分所有建物)に存する居住の用に供する専有部分一室に係る区分所有権及び敷地利用権(一室の区分所有権等、居住用の区分所有財産)については、その一室の区分所有権等に係る敷地利用権(土地部分)の「自用地としての価額」及び区分所有権(家屋部分)の「自用家屋としての価額」のそれぞれに「区分所有補正率」を乗じて計算した価額を、その「自用地としての価額」及びその「自用家屋としての価額」とみなして評価基本通達を適用して計算した価額によって評価することとなります。

したがって、本件通達適用後の「一室の区分所有権等に係る敷地利用権」の「自用地としての価額」又は「一室の区分所有権等に係る区分所有権」の「自用家屋としての価額」は、次の算式のとおり計算することとなります。

ただし、評価水準が0.6以上1以下の場合は、区分所有補正率を乗じて計算せず、評価することとなります。

イ 一室の区分所有権等に係る敷地利用権の「自用地としての価額」

本通達適用前の自用地としての価額(路線価方式又は倍率方式)×区分所有補正率

ロ 一室の区分所有権等に係る区分所有権の「自用家屋としての価額」

本通達適用前の自用家屋としての価額(固定資産税評価額×1.0)×区分所有補正率

(2) 居住用の区分所有財産の評価方法が適用される不動産

本件通達が適用される「一室の区分所有権等」とは、一棟の区分所有建物に存する居住の用に供する専有部分一室に係る区分所有権及び敷地利用権をいい、この「一棟の区分所有建物」とは、区分所有者が存する家屋(地階を除く階数が2以下のもの及び居住の用に供する専有部分一室の数が3以下であってその全てを区分所有者等の居住の用に供するものを除きます。)で、居住の用に供する専有部分のあるものをいいます。そして、この「区分所有者」とは、区分所有法第1条《建物の区分所有》に規定する建物の部分を目的とする所有権(区分所有権)を有する者をいうこととしているところ、この区分所有権は、一般に、不動産登記法第2条《定義》第22号に規定する区分建物の登記がされることによって外部にその意思が表示されて成立するとともに、その取引がなされることを踏まえ、「一棟の区分所有建物」は、同号に規定する区分建物の登記がされたものに限られることとしています。したがって、区分建物の登記をすることが可能な家屋であっても、課税時期において区分建物の登記がされていないもの(例えば、一棟所有の賃貸マンションなど)は、本件通達の適用対象とはなりません。

また、「居住の用に供する専有部分」における「居住の用」とは、一室の専有部分について、構造上、主として居住の用途に供することができるものをいい、原則として、登記簿上の建物の種類に「居宅」を含むものがこれに該当します。したがって、例えば、事業用のテナント物件などは、本件通達の適用対象とはなりません。

なお、構造上、主として居住の用途に供することができるものであれば、課税時期において、現に事務所として使用している場合であっても、「居住の用」に供するものに該当することとなります。

さらに、評価基本通達第6章第2節に定めるたな卸商品等に該当するものも、本通達の適用対象とはなりません。

(3) 区分所有補正率の計算方法

区分所有補正率は、評価乖離率、評価水準、区分所有補正率の順に、以下のとおり計算します(国税庁ホームページには、「居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書(令和6年1月1日以降用)」【計算ツール】(Excelファイル)が提供されており、登記事項証明書などから必要なデータを入力することにより、区分所有補正率が自動計算されます。)。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hyoka/annai/1470-17.htm

イ 評価乖離率

評価乖離率=A+B+C+D+3.220

A=一棟の区分所有建物の築年数×△0.033

B=一棟の区分所有建物の総階数指数×0.239(小数点以下第4位切捨て)

C=一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階×0.018

D=一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度×△1.195(小数点以下第4位切上げ

ロ 評価水準

評価水準=1÷評価乖離率

ハ 区分所有補正率

区分所有補正率は、評価水準の区分に応じて、次のとおりとなります。

区分

区分所有補正率

評価水準<0.6

評価乖離率 × 0.6

0.6≦評価水準≦1

補正なし

1<評価水準

評価乖離率

 

 

 

作成日:令和7年9月24