33-06_宅地造成契約に基づく土地の交換等

 

【質疑内容】

所得税基本通達33-6の6《法律の規定に基づかない区画形質の変更に伴う土地の交換分合》及び33-6の7《宅地造成契約に基づく土地の交換等》について説明してください。

 

【回答内容】

1 関係法令等

(1) 所得税法第33条《譲渡所得》第1項は、譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいう旨規定しています。

(2) 所得税基本通達(以下「所得税通達」といいます。)33-6の6(以下「交換分合通達」といいます。)は、一団の土地の区域内に土地(土地の上に存する権利を含みます。以下同じ。)を有する2以上の者が、その一団の土地の利用の増進を図るために行う土地の区画形質の変更に際し、相互にその区域内に有する土地の交換分合(土地区画整理法、土地改良法等の法律の規定に基づいて行うものを除きます。以下同じ。)を行った場合には、その交換分合が当該区画形質の変更に必要最小限の範囲内で行われるものである限り、その交換分合による土地の譲渡はなかったものとして取り扱う旨定めています。

また、その注書の2は、この取扱いは、当該交換分合が、一団の土地の区画形質の 変更に伴い行われる道路その他の公共施設の整備、不整形地の整理等に基因して行われるもので、四囲の状況からみて必要最小限の範囲内であると認められるものについて適用できることに留意する旨定めています。

(3) 所得税通達33-6の7(以下「宅地造成通達」といいます。)は、一団の土地の区画形質の変更に関する事業(土地区画整理法、土地改良法等の規定に基づくものを除きます。以下同じ。)が施行される場合において、その事業の施行者とその一団の土地の区域内に土地を有する者(以下「従前の土地の所有者」といいます。)との間に締結された契約に基づき、従前の土地の所有者の有する土地をその事業の施行のためにその事業施行者に移転し、その事業完了後に区画形質の変更が行われたその区域内の土地の一部を従前の土地の所有者が取得するときは、その従前の土地の所有者が有する土地とその取得する土地との位置が異なるときであっても、その土地の異動が当該事業の施行上必要最小限の範囲内のものであると認められるときは、その従前の土地の所有者の有する土地(金銭等とともに土地を取得するときは、従前の土地の所有者の有する土地のうちその金銭等に対応する部分を除きます。以下「従前の土地」といいます。)のうちその取得する土地(その取得する土地につき、金銭等の支払があるときは、その取得する土地のうちその金銭等で取得したと認められる部分を除きます。以下「換地」といいます。)の面積に相当する部分は譲渡がなかったものとして取り扱う旨定めています。

また、その注書の3は、この取扱いの適用については、所得税通達33-6の6の注書の2の取扱いに準ずる旨定めています。

 

2 裁判例等

(1) 譲渡所得の意義

最高裁判所昭和50年5月27日第三小法廷判決は、所得税法第33条第1項は、譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいう旨規定しているところ、譲渡所得に対する課税は、資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会に、これを清算して課税する趣旨のものであるから、その課税所得たる譲渡所得の発生には、必ずしも当該資産の譲渡が有償であることを要せず、したがって、所得税法33条に規定する「資産の譲渡」とは、有償無償を問わず資産を移転させる一切の行為をいうものと解される旨判断しています。

(2) 交換分合通達及び宅地造成通達の趣旨

国税不服審判所は、交換分合通達及び宅地造成通達について、要旨、次のとおり判断しています。

イ 平成131220日裁決

法律の規定に基づかない私的な土地区画整理は、その目的において、一般に、土地所有者間の協議により、従来不整形地であったところに道路を付け、あるいは区画を整理することによりその後の土地の利用増進を図るということにあると考えられる。

このような場合、土地所有者相互の間で部分的な土地の交換分合を行うことは不可避とされるが、交換分合通達の取扱いは、その経済実態から、土地所有者相互間における相隣関係の問題として単に土地の境界線を整理しただけとか不整形地であったところに道路を付け区画を整理するというのであれば、その土地の交換分合が土地所有者相互間において必要最小限の範囲内で行われた場合には、税務上はその交換分合による土地の譲渡はなかったものとする趣旨である。

なお、交換分合通達に定める土地の区画形質の変更とは、土地の区画を整理し、又は土地の形状及び土質を変更し、利用しやすい土地にすることをいうと解され、必ずしも土地の形質の変更を伴わなければならないというものではない。

ロ 平成28年6月16日裁決

一団の土地の区域内に土地を有する2以上の者が、その一団の土地の利用の増進を図るために行う土地の区画形質の変更に際し、相互にその区域内に有する土地の交換分合を行うことがある。また、一団の土地の区画形質の変更に関する事業が施行される場合において、その事業の施行者と従前の土地の所有者との間に締結された契約に基づき、従前の土地の所有者が有する土地をその事業の施行のためにその事業施行者に移転し、その事業完了後に区画形質の変更が行われたその区域内の土地の一部を従前の土地の所有者が取得することがある。

こうした交換分合又は土地の異動は所有権の移転を伴うから、原則として所得税法第33条第1項に規定する「譲渡」に該当する。もっとも、事柄の性質上、事実関係次第では、土地所有者間において土地を譲渡したという認識がなく、これによりキャピタル・ゲインが実現し課税適状になったとすることについて納税者の理解が得られず、経済実態としても土地の所有権の実体に何ら変化がなかったと考えるのが常識的な解決ではないかと思われるような場合もあり得る。

そこで、交換分合通達及び宅地造成通達は、以上のことを考慮し、当該交換分合又は土地の異動が、四囲の状況からみて必要最小限の範囲内であることといった所定の要件を満たす場合に限り、上記の原則に対する例外的な取扱いを認める旨定めたものであると解される。

 

3 回答

(1) 交換分合通達及び宅地造成通達の適用要件

イ 交換分合通達

() 土地区画整理法、土地改良法等の法律の規定に基づかないで、一団の土地の区域内に土地を有する2以上の者が、その一団の土地の利用の増進を図るために行う土地の区画形質の変更に際し、相互にその区域内に有する土地の交換分合を行うこと。

() 交換分合が区画形質の変更に必要最小限の範囲内で行われるものであること。

() 交換分合が、一団の土地の区画形質の変更に伴い行われる道路その他の公共施設の整備、不整形地の整理等に基因して行われるもので、四囲の状況からみて必要最小限の範囲内であること。

ロ 宅地造成通達

() 土地区画整理法、土地改良法等の規定に基づかないで、一団の土地の区画形質の変更に関する事業が施行されること。

() 事業の施行者と従前の土地の所有者との間に締結された契約に基づき、従前の土地の所有者の有する土地を事業の施行のために事業施行者に移転し、事業完了後に区画形質の変更が行われたその区域内の土地の一部を従前の土地の所有者が取得すること。

() 従前の土地の所有者が有する土地と取得する土地との位置が異なるときであっても、土地の異動が事業の施行上必要最小限の範囲内のものであること。

() 土地の異動が、一団の土地の区画形質の変更に伴い行われる道路その他の公共施設の整備、不整形地の整理等に基因して行われるもので、四囲の状況からみて必要最小限の範囲内であること。

(2) その他留意事項等

イ 土地の異動は所有権の移転を伴うから、原則として所得税法第33条第1項に規定する「譲渡」に該当することとなりますが、宅地造成通達は、当該土地の異動が、四囲の状況からみて必要最小限の範囲内であることといった所定の要件を満たす場合に限り、上記の原則に対する例外的な取扱いを認める旨定めたものであることから、宅地造成通達が適用されるか否かの判断に当たっては、上記(1)の適用要件を厳格に確認する必要があり、拡大解釈をすべきではないものと考えられます。

ロ 令和6年版所得税基本通達逐条解説の解説文には、宅地造成通達について、「・・・その契約に基づきその区画形質の変更を了した土地のうち、取得した土地の位置と変更前の土地の位置とが異なれば、資産の譲渡があったので課税対象になるという考え方もあるが、一団の土地の区画形質の変更に関する事業を行う宅地造成業者に移転する土地の位置と区画形質の変更が行われた後に取得する土地の位置とが異なるかどうかをその事業施行区域内の土地について確認することは、事実上困難な場合が多い。また、その土地の位置が異なるといっても、その土地の異動について譲渡があったとして課税することは、その異動を実態上権利の変動と認めてよいかどうかといった疑義も生じ・・・」と記載されています。このことから、従前の土地と換地の位置が異なるかどうかを確認することは困難な場合が多いから確認する必要はない、すなわち、換地が一団の土地の区域内にあれば宅地造成通達の適用があるのではないかという疑義が生じます。

しかしながら、宅地造成通達の適用に当たっては、土地の異動が必要最小限であることが要件とされていることから、従前の土地の位置と換地の位置を必ず確認する必要があることに留意すべきです。

仮に、換地が一団の土地の区域内にあれば譲渡がなかったものとするならば、平成30年法律第7号により廃止された旧租税特別措置法第37条の7《大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための交換等の場合の譲渡所得の課税の特例》のように法制化が必要であるものと考えられます。

なお、宅地造成通達の適用があるか否かは、事業ごとに判断するのではなく、納税者ごとに判断することとなるため、納税者ごとにその適用に係る判断が分かれることは十分あり得ます。

ハ 宅地造成通達の「・・・その従前の土地の所有者が有する土地とその取得する土地との位置が異なるときであっても、その土地の異動が当該事業の施行上必要最小限の範囲内のものであると認められるときは、・・・」という定めからすれば、いわゆる現地換地が原則であり、また、「土地の異動が、一団の土地の区画形質の変更に伴い行われる道路その他の公共施設の整備、不整形地の整理等に基因して行われるもの」という定めからすれば、例えば、従前の土地が道路や公園となり、移動せざるを得ないため、現地換地とはならないものの、その異動は、従前の土地の近隣であるなど必要最小限の範囲内に所在する必要があります。

例えば、商業エリア、住宅エリア及び農地等エリアに区分して開発することがあると思います。このような開発は、利用者等の利便性の向上や土地の利用の増進に資するなど、一般的には合理的な開発であるものと考えられますが、このことが必ずしも宅地造成通達の適用に繋がるものではないことに留意すべきです。

なお、宅地造成通達の適用については、法令で規定されているものではないため、申告要件はありませんが、ほとんどの場合、減歩が生じ、当該減歩部分については、譲渡所得が課税されることとなるため、結局のところ、申告を要することとなります。

 

【参考】

◎ 旧租税特別措置法第37条の7

平成30年法律第7号により廃止された旧租税特別措置法第37条の7第1項及び第2項は、個人の有する土地等につき一団の宅地の造成に関する事業で次の①及び③又は②及び③に掲げる要件を満たすものが施行される場合において、当該個人が、当該土地等と当該事業により造成された宅地で当該造成を行う個人若しくは法人の有するものとの一定の交換をしたとき(交換差金を取得し、又は支払った場合を含みます。)、又は当該宅地を譲り受けることを約して当該造成を行う個人若しくは法人に当該土地等の譲渡をし、かつ、当該譲渡の日の属する年の1231日まで(当該宅地の造成に要する期間が1年を超えることその他のやむを得ない事情により、当該譲渡をした日の属する年の1231日までに当該宅地を譲り受けることが困難である場合において、納税地の所轄税務署長が認定する日までに当該宅地を譲り受ける見込みであることにつき当該税務署長の承認を受けたときはその認定した日まで)に当該土地を譲り受けたときは、当該土地等(当該宅地とともに交換差金を取得し、又は当該譲渡による収入金額が当該宅地の取得価額(又は取得価額の見積額)を超える場合には、当該土地等のうち当該交換差金又はその超える金額に相当する部分を除きます。)の交換又は譲渡がなかったものとして、租税特別措置法第31条《長期譲渡所得の課税の特例》又は第32条《短期譲渡所得の課税の特例》の規定を適用する旨規定していました。

① 主として住宅建設の用に供する宅地を造成する目的で行われる事業で、当該造成に係る一団の土地の面積が20ha以上であるものであること。

② 大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法第3条第1項の認定を受けて行われる一団の宅地の造成に関する事業であること。      

③ 都市計画法第29条第1項の許可を受けて宅地の造成が行われるものであること。

 

 

作成日:令和7年9月24