(措)40-01_国等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例

 

【質疑内容】

国等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例について説明してください。

 

【回答内容】

1 関係法令等

(1) 所得税法関係

所得税法第59条《贈与等の場合の譲渡所得等の特例》第1項柱書及び同項第1号は、贈与(法人に対するものに限ります。)又は相続(限定承認に係るものに限ります。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限ります。)により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除きます。)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があった場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があったものとみなす旨規定しています。

(2) 租税特別措置法関係

租税特別措置法第40条《国等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税》第1項前段は、国又は地方公共団体に対し財産の贈与又は遺贈があった場合には、所得税法第59条第1項第1号の規定の適用については、当該財産の贈与又は遺贈がなかったものとみなす旨規定し、その後段は、公益社団法人、公益財団法人、特定一般法人(法人税法別表第2に掲げる一般社団法人及び一般財団法人で、同法第2条第9号の二イに掲げるものをいいます。)その他の公益を目的とする事業(以下「公益目的事業」といいます。)を行う法人(外国法人に該当するものを除きます。以下「公益法人等」といいます。)に対する財産(国外にある土地その他の政令で定めるものを除きます。以下同じ。)の贈与又は遺贈(当該公益法人等を設立するためにする財産の提供を含みます。以下同じ。)で、当該贈与又は遺贈が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与すること、当該贈与又は遺贈に係る財産(当該財産につき措置法第33条第1項に規定する収用等があったことその他の政令で定める理由により当該財産の譲渡をした場合において、当該譲渡による収入金額の全部に相当する金額をもって取得した当該財産に代わるべき資産として政令で定めるものを取得したときは、当該資産(以下「代替資産」といいます。))が、当該贈与又は遺贈があった日から2年を経過する日までの期間(当該期間内に当該公益法人等の当該公益目的事業の用に直接供することが困難である場合として政令で定める事情があるときは、政令で定める期間。)内に、当該公益法人等の当該公益目的事業の用に直接供され、又は供される見込みであることその他の政令で定める要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたものについても、また同様とする旨規定しています。

 

2 回答

法人に対して譲渡所得の起因となる資産を贈与した場合には、原則として、所得税法第59条第1項柱書及び同項第1号の規定により、その時における価額に相当する金額、すなわち、時価により資産の譲渡があったものとみなされ、譲渡所得として所得税が課税されることとなります。ただし、譲渡所得の起因となる財産を国又は地方公共団体に贈与した場合には、租税特別措置法第40条第1項前段の規定により非課税とされ、また、譲渡所得の起因となる財産を公益法人等に贈与し、所定の要件を充足した上で、国税庁長官の承認を受けた場合には、租税特別措置法第40条第1項後段の規定により非課税とされます。

 

【参考】

1 租税特別措置法第40条の規定による承認申請の概要

土地、建物、株式などの譲渡所得の起因となる財産を公益法人等に贈与(以下「寄附」といいます。)した場合には、その寄附が所定の要件を充足するものとして国税庁長官の承認(以下「非課税承認」といいます。)を受けたときは、所得税を非課税とする制度が設けられており、この非課税制度には、一般特例と承認特例の2つの制度があります。

(1) 一般特例(公益法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例)

イ 概要

公益法人等に財産を寄附した場合に、その寄附が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与することなど次のロの要件を満たすものとして非課税承認を受けたときは、この寄附に対する所得税を非課税とする制度です(租税特別措置法第40条第1項後段)。

ロ 承認要件

一般特例に係る非課税承認を受けるためには、公益法人等に対する財産の寄附について次の()ないし()に掲げる全ての要件(法人税法別表第1に掲げる独立行政法人、国立大学法人などに対する贈与(寄附)である場合には、次の()に掲げる要件のみ)を充足する必要があります(租税特別措置法施行令第25条の17第5項)。

() 寄附が、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与すること(租税特別措置法施行令第25条の17第5項第1号)。

() 寄附財産(寄附を受けた財産をいい、代替資産を含みます。以下同じです。)が、寄附があった日から2年を経過する日までの期間内に寄附を受けた公益法人等の公益目的事業の用に直接供され、又は供される見込みであること(租税特別措置法施行令第25条の17第5項第2号)。

() 寄附をすることにより、寄附をした人の所得税の負担を不当に減少させ、又は寄附をした人の親族その他これらの人と相続税法第64条第1項に規定する特別の関係がある人の相続税若しくは贈与税の負担を不当に減少させる結果とならないと認められること(租税特別措置法施行令第25条の17第5項第3号)。

(2) 承認特例(承認特例対象法人に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例)

イ 概要

公益法人等のうち、国立大学法人等(国立大学法人、大学共同利用機関法人、公立大学法人、独立行政法人国立高等専門学校機構、国立研究開発法人及び国立健康危機管理研究機構をいいます。)、公益社団法人、公益財団法人、学校法人、社会福祉法人又は認定NPO法人等(以下「承認特例対象法人」といいます。)に財産を寄附した場合に、寄附をした人が寄附を受けた承認特例対象法人の役員等に該当しないことなど次のロの要件を満たすものとして非課税承認を受けたとき(申請書を提出した日から1か月(一定の場合には3か月以内)にその申請について非課税承認がなかったとき、又は承認しないことの決定がなかったときは、その申請について非課税承認があったものとみなされます。)は、この寄附に対する所得税を非課税とする制度です(租税特別措置法施行令第2517第7項及び第8項第2号)。

ロ 承認要件

承認特例に係る非課税承認を受けるためには、承認特例対象法人に対する財産の寄附について次の()ないし()に掲げる全ての要件(特定国立大学法人等に対する寄附である場合には、次の()及び()に掲げる要件)を充足する必要があります(租税特別措置法施行令第25条の17第7項)。

() 寄附をした人が寄附を受けた承認特例対象法人の役員等及び社員並びにこれらの人と親族関係及び特殊の関係がある者に該当しないこと(租税特別措置法施行令第25条の17第7項第1号)。

() 寄附財産について、寄附を受けた承認特例対象法人の区分に応じ、一定の基金若しくは基本金に組み入れる方法により管理されていること又は不可欠特定財産に係る必要な事項が定款で定められていること(租税特別措置法施行令第25条の17第7項第2号)。

() 寄附を受けた承認特例対象法人の理事会等において、寄附の申出を受け入れること及び寄附財産について一定の基金若しくは基本金に組み入れる方法により管理すること又は不可欠特定財産とすることが決定されていること(租税特別措置法施行令第25条の17第7項第3号及び租税特別措置法施行規則第18条の19第7項)

 

2 租税特別措置法第40条の規定による承認申請の手続

非課税承認を受けようとする場合には、原則として、寄附の日から4か月以内(その期間を経過する日前に、寄附をした日の属する年分の所得税の確定申告書の提出期限が到来する場合には、その提出期限まで)に、「租税特別措置法第40条の規定による承認申請書」及び必要な添付書類を提出する必要があります。

 

3 非課税承認の取消し

国税庁長官は、寄附財産が寄附を受けた公益法人等の公益目的事業の用に直接供されなくなった場合など一定の事実が生じた場合には、非課税承認を取り消すことができることとされており、非課税承認が取り消された場合には、その取り消されることとなった事実の内容に応じ、寄附をした者又は寄附を受けた公益法人等に対して、原則として、その取り消された日の属する年分の譲渡所得等として所得税が課税されることとなります。

 

 

作成日:令和7年9月24