33-04_借家人が受け取った立退料

 

【質疑内容】

借家人が受け取った立退料に係る課税関係について説明してください。

 

【回答内容】

1 関係法令等

(1) 所得税法施行令第95条《譲渡所得の収入金額とされる補償金等》は、契約に基づき、又は資産の消滅を伴う事業でその消滅に対する補償を約して行なうものの遂行により譲渡所得の基因となるべき資産が消滅をしたことに伴い、その消滅につき一時に受ける補償金その他これに類するものの額は、譲渡所得に係る収入金額とする旨規定しています。

(2) 所得税基本通達33-6《借家人が受ける立退料》は、借家人が賃貸借の目的とされている家屋の立退きに際し受けるいわゆる立退料のうち、借家権の消滅の対価の額に相当する部分の金額は、所得税法施行令第95条に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当する旨定めています。

(3) 所得税基本通達34-1《一時所得の例示》の柱書及び(7)は、借家人が賃貸借の目的とされている家屋の立退きに際し受けるいわゆる立退料(その立退きに伴う業務の休止等により減少することとなる借家人の収入金額又は業務の休止期間中に使用人に支払う給与等借家人の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補填するための金額及び所得税法施行令第95条に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当する部分の金額を除きます。)に係る所得は、一時所得に該当する旨定め、(7)の注書の1は、収入金額又は必要経費に算入される金額を補填するための金額は、その業務に係る各種所得の金額の計算上総収入金額に算入される旨定めています。

(4) 所得税基本通達3815《借家権の取得費》は、借家権の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費の額は、借家権の取得に当たり支払った権利金の額から次の算式により計算した金額を控除した金額とする旨定めています。  

権利金の額

×

借家権を取得した日から譲渡する日までの期間(A)

権利金の支出の効果の及ぶ期間(B)

  また、所得税基本通達3815の注書の1は、A/Bが1を超えるときは1とし、その注書の2は、権利金の支出の効果の及ぶ期間については、所得税基本通達50-3《繰延資産の償却期間》に定める償却期間による旨定めています。  

(5) 所得税基本通達3816《土地建物等以外の資産の取得費》は、土地建物等以外の資産(通常、譲渡所得の金額の計算上控除する取得費がないものとされる土地の地表又は地中にある土石等並びに借家権及び漁業権等を除きます。)を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費は、所得税法第38条及び第61条の規定に基づいて計算した金額となるのであるが、当該収入金額の100分の5に相当する金額を取得費として譲渡所得の金額を計算しているときは、これを認めて差し支えないものとする旨定めています。

 

2 回答

(1) 借家人が家屋の立ち退きに際して受け取る立退料には、①移転費用の補償(家屋を明け渡すことに伴う実費補償)、②収益補償(業務の休止等に伴う収益補償又は経費補償)及び③対価補償(借家権の消滅の対価)という性格のものが含まれているものと考えられることから、上記①は一時所得の金額の計算上収入金額に、②は事業所得等の金額の計算上収入金額に及び③は譲渡所得の金額の計算上収入金額にそれぞれ算入することとなります。

なお、立退料に上記①ないし③が混在している場合の上記③の価額の算定に当たっては、立退料として受領した額から、明らかに収益補償と見解けられる金額及びその家屋の立ち退きに通常必要と認められる費用の額の合計額を差し引いた後の金額を、③の価額とみても差し支えないものと考えられます。

(2) 立退料が譲渡所得となる場合、借家権の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費の額は、借家権の取得に当たり支払った権利金の額から、所得税基本通達3815に定める所定の算式により計算した金額を控除した金額となります(所得税基本通達3816の定めは適用できないことに留意してください。)。

 

 

作成日:令和7年9月24