【質疑内容】
令和X年4月1日に死亡した甲の相続財産には、市街地農地である畑(以下「本件畑」といいます。)があるところ、本件畑は、多少の凹凸があるものの、南側にある道路とほぼ等高に接面しており、全体としてはほぼ平坦な土地です。
本件畑の価額について、宅地造成費の金額として、整地費を控除して評価した上で、相続税の申告をしました。
しかし、本件畑の一部に数本の樹木が生育していることから、本件畑の価額について、宅地造成費の金額として、整地費に加え、当該樹木が生育している部分に係る伐採・伐根費を控除して評価した上で、相続税の更正の請求をしようと考えていますが、この更正の請求は認められますか。
【回答内容】
1 関係法令等
(1) 財産評価基本通達(以下「評価通達」といいます)40《市街地農地の評価》の本文は、市街地農地の価額は、その農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額からその農地を宅地に転用する場合において通常必要と認められる1㎡当たりの造成費に相当する金額として、整地、土盛り又は土止めに要する費用の額がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める金額を控除した金額に、その農地の地積を乗じて計算した金額によって評価する旨定めています。
(2) 令和X年分の財産評価基準書の宅地造成費の金額表においては、市街地農地、市街地周辺農地、市街地山林及び市街地原野を評価する場合における宅地造成費の金額は、平坦地と傾斜地の区分によりそれぞれ次表に掲げる金額のとおりであるとされ、表1として平坦地の宅地造成費が掲げられているところ、表1の留意事項の(1)において、「伐採・抜根費とは、樹木が生育している土地について、樹木を伐採し、根等を除去するための工事費をいいます。したがって、整地工事によって樹木を除去できる場合には、造成費に本工事費を含めません。」とされています(令和7年分の財産評価基準書を参考としました。)。
2 裁判例等
(1) 最高裁判所昭和39年2月7日第二小法廷判決は、要旨、次のとおり判断しています。
申告納税の所得税にあっては、納税義務者において一旦申告書を提出した以上、その申告書に記載された所得金額が真実の所得金額に反するものであるとの主張、立証がない限り、その確定申告にかかる所得金額をもつて正当のものと認めるのが相当である。
(2) 国税不服審判所令和6年6月20日裁決は、要旨、次のとおり判断しています。
請求人らは、相続により取得した土地(本件各土地)の評価に際し、本件各土地の一部には樹木が存在し、通常の整地工事によって除去できないことから、財産評価基準書に定める整地費に加え、伐採・抜根費を控除すべきである旨主張する。しかしながら、本件各土地の一部には、樹木が生育しているものの、相続開始の日において、通常の整地工事によっては当該樹木を除去できないと認めるに足りる証拠がないことから、本件各土地の評価に際し、伐採・抜根費を控除することはできない。
3 回答
(1) 令和X年分の財産評価基準書の宅地造成費の金額表において、「伐採・抜根費とは、樹木が生育している土地について、樹木を伐採し、根等を除去するための工事費をいいます。したがって、整地工事によって樹木を除去できる場合には、造成費に本工事費を含めません。」と定められています。
したがって、市街地農地等の価額の評価に当たって、樹木が生育している土地について、樹木を伐採し、根等を除去するための工事費を要する場合には、整地工事によって樹木を除去できる場合を除き、宅地造成費の金額として、伐採・抜根を必要とする部分の面積に係る伐採・伐根費を控除して評価することができます。
(2) 本質疑の場合には、更正の請求を前提としており、更正の請求の場合には、主張・立証責任が納税者側にあることに留意する必要があります。すなわち、①樹木を伐採し、根等を除去するための工事費を要すること、②整地工事によっては当該樹木を除去できないこと及び③伐採・抜根を必要とする部分の面積を、客観的な証拠書類により明らかにする必要があります。
作成日:令和8年3月16日
