税務署に目を付けられる相続税の申告

 

国税庁ホームページに掲載されている「令和5年分相続税の申告事績の概要」(https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/sozoku_shinkoku/pdf/sozoku_shinkoku.pdf)によれば、令和5年分における被相続人数(死亡者数)は1,576,016人、そのうち相続税の申告書の提出に係る被相続人数は155,740人で、他方、当該ホームページに掲載されている「令和5事務年度における相続税の調査等の状況」(https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/sozoku_chosa/pdf/sozoku_chosa.pdf)によれば、令和5事務年度における実地調査の件数は8,556件です。

「令和5年分」(令和5年1月から同年12月)と「令和5事務年度」(令和5年7月から令和6年6月)の違いなどから単純に比較することはできませんが、当然ながら、相続税の申告書の提出があった全てについて、税務署などが実地調査を実施することはできません。

それでは、税務署などは、どのような相続税の申告に目を付けて実地調査を実施するのでしょうか。

税務署は、過去の相続税や贈与税、所得税などの申告事績、各種の法定調書をはじめ、その他各種の資料情報を有しており、また、金融機関に対する取引履歴の照会など、各種の照会を行います。そして、これらの情報や照会に対する回答などを基に、申告漏れが想定される相続税事案を実地調査事案に選定し、実地調査を実施します。

そして、例えば、次のような相続税事案については、実地調査事案として選定され、実地調査が実施される可能性が高いものと考えられます。

1 被相続人名義の多額の預貯金や有価証券、あるいは遠隔地にある不動産などの申告漏れが想定される事案

2 相続人その他親族等名義で多額の預貯金や有価証券があるなど、いわゆる被相続人の名義預金等ではないかと想定される事案

3 相続開始前に被相続人名義の預貯金口座や証券口座から使途不明の多額の出金などがある事案

4 相続開始前に被相続人名義の預貯金口座や証券口座から、ATMを使用するなどし、多数回にわたり多額の使途不明の現金が出金されている事案

5 相続開始直前に被相続人名義の預貯金口座などから多額の使途不明の現金が出金されている事案

6 被相続人の預貯金口座等と相続人その他親族等名義の預貯金口座等の間で資金移動がある事案

7 被相続人が相続人その他親族等から多額の借入金があり、その使途が不明な事案

 

 

作成日:令和7年12月3日