33-02_長期譲渡所得と短期譲渡所得

 

【質疑内容】

長期譲渡所得と短期譲渡所得について説明してください。

 

【回答内容】

1 関係法令等

(1) 所得税法第33条《譲渡所得》第3項は、譲渡所得の金額は、次に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となった資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(次のうちいずれかに掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となった資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他に掲げる所得に係る残額から控除した金額をいいます。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする旨規定しています。

イ 資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。)

ロ 資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの

(2) 租税特別措置法(以下「措置法」といいます。)第31条《長期譲渡所得の課税の特例》第1項前段は、個人が、その有する土地若しくは土地の上に存する権利(以下「土地等」といいます。)又は建物及びその附属設備若しくは構築物(以下「建物等」といいます。)で、その年1月1日において所有期間が五年を超えるものの譲渡をした場合には、当該譲渡による譲渡所得については、所得税法第22条《課税標準》及び第89条《税率》並びに第165条《総合課税に係る所得税の課税標準、税額等の計算》の規定にかかわらず、他の所得と区分し、その年中の当該譲渡に係る譲渡所得の金額(同法第33条第3項に規定する譲渡所得の特別控除額の控除をしないで計算した金額とし、措置法第32条《短期譲渡所得の課税の特例》第1項に規定する短期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、同項後段の規定にかかわらず、当該計算した金額を限度として当該損失の金額を控除した後の金額とします。以下「長期譲渡所得の金額」といいます。)に対し、長期譲渡所得の金額の100分の15に相当する金額に相当する所得税を課する旨規定し、その後段は、長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、所得税法その他所得税に関する法令の規定の適用については、当該損失の金額は生じなかったものとみなす旨規定しています。

また、措置法第31条第2項は、同条第1項に規定する所有期間とは、当該個人がその譲渡をした土地等又は建物等をその取得(建設を含みます。)をした日の翌日から引き続き所有していた期間として政令で定める期間をいう旨規定しています。

(3) 措置法第第32条第1項前段は、個人が、その有する土地等又は建物等で、その年1月1日において措置法第31条第2項に規定する所有期間が5年以下であるものの譲渡をした場合には、当該譲渡による譲渡所得については、所得税法第22条及び第89条並びに第165条の規定にかかわらず、他の所得と区分し、その年中の当該譲渡に係る譲渡所得の金額(同法第33条第3項に規定する譲渡所得の特別控除額の控除をしないで計算した金額とし、措置法第31条第1項に規定する長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、同項後段の規定にかかわらず、当該計算した金額を限度として当該損失の金額を控除した後の金額とします。以下「短期譲渡所得の金額」といいます。)に対し、課税短期譲渡所得金額(短期譲渡所得の金額をいいます。)の100分の30に相当する金額に相当する所得税を課する旨規定し、その後段は、短期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、所得税法その他所得税に関する法令の規定の適用については、当該損失の金額は生じなかったものとみなす旨規定しています。

(4) 所得税基本通達33-9《資産の取得の日》は、所得税法第33条第3項第1号に規定する取得の日は、次による旨定めています。

他から取得した資産については、所得税基本通達3612に準じて判定した日とする。

自ら建設、製作又は製造(以下この項において「建設等」といいます。)をした資産については、当該建設等が完了した日とする。

他に請け負わせて建設等をした資産については、当該資産の引渡しを受けた日とする。

(5) 所得税基本通達3612《山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期》の本文は、山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものとする旨定め、そのただし書は、納税者の選択により、当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日(農地法第3条第1項《農地又は採草放牧地の権利移動の制限》若しくは第5条《農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限》第1項本文の規定による許可(同条第4項の規定により許可があったものとみなされる協議の成立を含みます。以下同じ。)を受けなければならない農地若しくは採草放牧地(以下この項においてこれらを「農地等」といいいます。)の譲渡又は同条第1項第6号の規定による届出をしてする農地等の譲渡については、当該農地等の譲渡に関する契約が締結された日)により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める旨定めています。

また、所得税基本通達3612の注書の1は、山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、資産の譲渡の当事者間で行われる当該資産に係る支配の移転の事実(例えば、土地の譲渡の場合における所有権移転登記に必要な書類等の交付)に基づいて判定をした当該資産の引渡しがあった日によるのであるが、当該収入すべき時期は、原則として譲渡代金の決済を了した日より後にはならないのであるから留意する旨定めています。

 

2 回答

(1) 分離譲渡所得の場合、すなわち土地等又は建物等の譲渡の場合には、①(分離)長期譲渡所得とは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものをいい、②(分離)短期譲渡所得とは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のものをいいます。

(2) 総合譲渡所得の場合、すなわち土地等又は建物等以外の譲渡の場合には、①(総合)長期譲渡所得とは所有期間(満所有期間)が5年を超えるものをいい、②(総合)短期譲渡所得とは所有期間(満所有期間)が5年以内のものをいいます。

なお、所得税法施行令第82条《短期譲渡所得の範囲》の規定により、次の場合には、所有期間が5年以内の場合でも(総合)長期譲渡所得となります。

イ 自分が研究して取得した特許権や実用新案権などの工業所有権

ロ 自分の育成による育成者権

ハ 自分が著作した著作権

ニ 自分で発見した鉱山などの採掘権

ホ 配偶者居住権を取得した日からの所有期間は5年以内であるが、被相続人がその配偶者居住権の目的となっている建物を取得した日からの所有期間が5年を超える場合

(3) 分離譲渡所得及び総合譲渡所得いずれの場合も、「所有期間」とは、土地や建物の取得の日から引き続き所有していた期間をいい、この場合、相続や贈与により取得したものは、原則として、被相続人や贈与者の取得した日から計算することとなります。

(4) 資産の取得の日は契約の効力発生の日により、譲渡の日は引渡し日によるというように、取得の日と譲渡の日との判定基準が異なっても差し支えありませんが、取得に関する契約の締結日に存在しない資産(モデルルームしか存在しない段階で契約する新築中のマンションなど)又は売主が所有していない資産(売主が他人物売買をする場合の他人が所有する資産など)については、その契約の締結日をその契約の効力発生の日とすることはできません。 

 

作成日:令和7年9月24