33-07_配偶者居住権の消滅等による所得

 

【質疑内容】

配偶者居住権の消滅等による所得について説明してください。

 

【回答内容】

1 関係法令等

(1) 所得税法第33条《譲渡所得》第1項は、譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含みます。)による所得をいう旨規定しています。

(2) 所得税法施行令第95条《譲渡所得の収入金額とされる補償金等》は、契約(契約が成立しない場合に法令によりこれに代わる効果を認められる行政処分その他の行為を含みます。)に基づき、又は資産の消滅(価値の減少を含みます。)を伴う事業でその消滅に対する補償を約して行なうものの遂行により譲渡所得の基因となるべき資産が消滅をしたこと(借地権の設定その他当該資産について物権を設定し又は債権が成立することにより価値が減少したことを除きます。)に伴い、その消滅につき一時に受ける補償金その他これに類するものの額は、譲渡所得に係る収入金額とする旨規定しています。

(3) 所得税基本通達33-6の8《配偶者居住権等の消滅による所得》は、配偶者居住権又は当該配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地(土地の上に存する権利を含みます。)を当該配偶者居住権に基づき使用する権利(以下「配偶者敷地利用権」といいます。)の消滅につき対価の支払を受ける場合における当該対価の額は、所得税法施行令第95条に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当することに留意する旨定めています。

(4) 昭和46年8月26日付直資4-5ほか「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」(以下「措置法通達」といいます。)3132共-1《分離課税とされる譲渡所得の基因となる資産の範囲》は、租税特別措置法第31条第1項又は第32条第1項(同条第2項において準用する場合を含みます。)の規定により分離課税とされる譲渡所得の基因となる資産は、措置法通達3132共-1の(1)及び(2)に掲げる資産に限られるから、鉱業権(租鉱権及び採石権その他土石を採掘し又は採取する権利を含みます。)、温泉を利用する権利、配偶者居住権(配偶者敷地利用権を含みます。)、借家権、土石(砂)などはこれに含まれないことに留意する旨定めています。

 

2 回答

(1) 民法の改正により、被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、遺産の分割(遺産分割協議、調停及び審判を含みます。)又は遺言によって、配偶者居住権を取得するものとされたとき等は、その居住していた建物の全部について無償で使用及び収益をする権利である配偶者居住権を取得することとされ、令和2年4月1日以後に開始した相続について適用することとされました(民法第1028《配偶者居住権》ないし第1036条《使用貸借及び賃貸借の規定の準用》)

また、配偶者居住権は、配偶者の終身の間又は遺産の分割若しくは遺言に別段の定めがある場合においてはその定めるところまで存続することとされ、この配偶者居住権は、取得した相続財産の分割行為である遺産分割等により定められ、具体的相続分を構成することから、相続等により取得した財産として、相続税の課税対象となるほか、この場合の財産評価については、相続税法第22条に規定する時価によるのではなく、相続税法で別途評価方法が規定されました(相続税法第23条の2《配偶者居住権等の評価》)。

(2) 他方、上記(1)のとおり、配偶者居住権は、配偶者の終身の間又は別段の定めがある場合にはその定めるところまで存続することとなりますが、合意解除や放棄も可能と解されていることから、例えば、配偶者居住権の目的となっている建物の所有者が、配偶者居住権の合意解除に当たって配偶者に対価を支払って、配偶者居住権を消滅させることが考えられます。

(3) そして、この配偶者居住権又は配偶者敷地利用権の消滅につき対価の支払を受ける場合におけるその対価の額は、所得税法施行令第95条に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当することとなり、譲渡所得として所得税が課税されることとなりますが、この場合における配偶者居住権又は配偶者敷地利用権の消滅に係る譲渡所得は、分離課税の譲渡所得ではなく、総合課税の譲渡所得として課税されることとなります。(所得税法施行令第95条、所得税基本通達33-6の8及び措置法通達3132共-1)。

なお、配偶者居住権について、譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費については、所得税法第60条《贈与等により取得した資産の取得費等》第3項1号の規定により、配偶者居住権を有する者と配偶者居住権の目的となっている建物の所有者との間で被相続人から引き継いだ本来のその建物の取得費を一定の割合により配偶者居住権と配偶者居住権の目的となっている建物に按分して計算することとなり、配偶者敷地利用権については、同項第2号の規定により、同様に按分して計算することとなります(具体的には、国税庁ホームページに、「配偶者居住権に関する譲渡所得に係る取得費の金額の計算明細書《確定申告書付表》」及びその記載例(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/joto-sanrin/0020012-046/0020012-046.pdf)が掲載されており、これらを用いて計算します。)

 

 

作成日:令和7年9月24