51-01_貸し付けられている山林の評価

 

【質疑内容】

貸し付けられている山林の評価について説明してください。

 

【回答内容】

1 関係法令等

(1) 相続税法関係

相続税法第23条《地上権及び永小作権の評価》は、地上権(借地借家法に規定する借地権又は民法第269条の2《地下又は空間を目的とする地上権》第1項の地上権に該当するものを除きます。)及び永小作権の価額は、その残存期間に応じ、その目的となっている土地のこれらの権利を取得した時におけるこれらの権利が設定されていない場合の時価に、残存期間が10年以下のものは100分の5など、同条に規定する所定の割合を乗じて算出した金額による旨定めています。

(2) 財産評価基本通達(以下「評価通達」といいます。)関係

イ 評価通達51《貸し付けられている山林の評価》は、賃借権、地上権等の目的となっている山林の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる旨定めています。

() 賃借権の目的となっている山林の価額は、評価通達47《純山林の評価》から評価通達50-2《特別緑地保全地区内にある山林の評価》までの定めにより評価したその山林の価額(以下「自用地としての価額」といいます。)から、評価通達54《賃借権の評価》の定めにより評価したその賃借権の価額を控除した金額によって評価する。

() 地上権の目的となっている山林の価額は、その山林の自用地としての価額から相続税法第23条《地上権及び永小作権の評価》の規定により評価したその地上権の価額を控除した金額によって評価する。

() 区分地上権の目的となっている山林の価額は、その山林の自用地としての価額から評価通達53-2《区分地上権の評価》の定めにより評価した区分地上権の価額を控除した金額によって評価する。

() 区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である山林の価額は、その山林の自用地としての価額から評価通達53-3《区分地上権に準ずる地役権の評価》の定めにより評価したその区分地上権に準ずる地役権の価額を控除した金額によって評価する。

ロ 評価通達54は、賃借権の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる旨定めています。

() 純山林に係る賃借権の価額は、その賃借権の残存期間に応じ、相続税法第23条の規定を準用して評価する。この場合において、契約に係る賃借権の残存期間がその権利の目的となっている山林の上に存する立木の現況に照らし更新されることが明らかであると認める場合においては、その契約に係る賃借権の残存期間に更新によって延長されると認められる期間を加算した期間をもってその賃借権の残存期間とする。

() 中間山林に係る賃借権の価額は、賃貸借契約の内容、利用状況等に応じ、()又は()の定めにより求めた価額によって評価する。

() 市街地山林に係る賃借権の価額は、その山林の付近にある宅地に係る借地権の価額等を参酌して求めた価額によって評価する。

ハ 評価通達53-2は、山林に係る区分地上権の価額は、評価通達27-4《区分地上権の評価》の定めを準用して評価する旨定めています。

ニ 評価通達53-3は、山林に係る区分地上権に準ずる地役権の価額は、その区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である山林の自用地としての価額を基とし、評価通達27-5《区分地上権に準ずる地役権の評価》の定めを準用して評価する旨定めています。

 

2 回答

(1) 貸し付けられている山林の評価の評価

イ 地上権とは、民法第265条《地上権の内容》に規定する他人において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利をいい、民法第269条の2《地下又は空間を目的とする地上権》に規定する地下又は空間を目的とする地上権及び借地借家法第2条第1号に規定する建物の所有を目的とする地上権を除きます。また、区分地上権とは、民法第269条の2に規定する地下又は空間を目的とする地上権をいい、区分地上権に準ずる地上権とは、地価税法施行令第2条《借地権等の範囲》第1項に規定する特別高圧架空電線の架設等を目的として地下又は空中について上下の範囲を定めて設定されたもので、建造物の設置を制限するものをいいます。

ロ そして、貸し付けられている山林の価額は、自用地としての価額から、①賃借権の目的となっている山林の場合は評価通達54の定めにより評価したその賃借権の価額を控除した金額によって、②地上権の目的となっている山林の場合は相続税法第23条の規定により評価したその地上権の価額を控除した金額によって、③区分地上権の目的となっている山林の場合は評価通達53-2の定めにより評価した区分地上権の価額を控除した金額によって、及び④区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である山林の場合は評価通達53-3の定めにより評価したその区分地上権に準ずる地役権の価額を控除した金額によって、それぞれ評価することとなります。

(2) 特別緑地保全地区内で管理協定が締結されている山林の評価

イ 管理協定制度

() 緑地保全地域内又は特別緑地保全地区内の緑地においては、建築物の新築等の行為について規制が行われますが、樹林地の手入れが不十分であるなど、管理が十分に行われないために緑地としての機能が十分に発揮されず、緑地の荒廃や喪失が発生し、緑地の適正な保全を十分に図ることができない場合が想定されます。

管理協定制度は、地方公共団体又は都市緑地法第81条第1項の規定に基づく緑地保全・緑化推進法人(以下、(2)において「みどり法人」といいます。)が、緑地保全地域内又は特別緑地保全地区内の緑地について土地所有者等による管理が不十分であると認められる場合に、土地所有者等との間で緑地の管理のための協定(管理協定)を締結し、当該土地所有者等に代わり緑地の保全及び管理を行う制度です。

() 管理協定は、緑地保全地域内又は特別緑地保全地区内の緑地について土地所有者等による管理では当該緑地の有する機能を十分発揮することができないと判断されるような土地について締結されるものであり、管理協定区域内の土地には農地及び採草放牧地は含まれません。

ロ 特別緑地保全地区内で管理協定が締結されている山林の評価

() 相続税及び贈与税の課税上、特別緑地保全地域内にあり、次の要件の全てを満たす管理協定が締結されている山林については、財産評価基本通達《特別緑地保全地区内にある山林の評価》50-2に定める特別緑地保全地区内にある土地として評価した価額から、更に、その価額に100分の20を乗じて計算した金額を控除して評価します。

A 都市緑地法第24条第1項に規定する管理協定区域内の土地であること

B 管理協定に次の事項が定められていること

(A) 貸付けの期間が20年であること

(B) 正当な事由がない限り貸付けを更新すること

(C) 土地所有者は、貸付けの期間の中途において正当な事由がない限り土地の返還を求めることはできないこと

() 相続税及び贈与税の申告手続は、次のとおりです。

A 管理協定土地として貸し付けられた土地の相続人、受遺者又は受贈者(以下「相続人等」といいます。)は、管理協定土地として貸し付けられている土地に該当する旨の証明願を当該管理協定区域内の緑地の管理者たる地方公共団体又はみどり法人(以下、(2)において「地方公共団体等」といいます。)に提出します

B 当該土地が管理協定土地の用地として貸し付けられている土地に該当するときには、当該管理協定区域内の緑地の管理者たる地方公共団体等から、①管理協定区域内の土地として貸し付けられている土地に該当する旨の証明書が相続人等へ交付されます。

なお、当該管理協定土地の管理がみどり法人の場合には、上記のほか、②管理協定区域内の土地である旨の証明書の写し及び③管理協定区域内の土地の証明に変更がない旨の証明書の写しが相続人等へ交付されます。

C 管理協定土地として貸し付けられた土地の相続人等は、上記Bで交付された各証明書等を添付した上で、相続税又は贈与税の申告書を提出します。

(3) 市民緑地契約が締結されている土地の評価

イ 市民緑地契約制度等

() 市民緑地とは、土地又は人工地盤、建築物その他の工作物(以下「土地等」という。)に設置される住民の利用に供する緑地又は緑化施設をいい、市民緑地には、地方公共団体又は都市緑地法第81条の規定に基づき市町村長が指定した緑地保全・緑化推進法人(以下、(3)において「みどり法人」といいます。)が土地等の所有者と契約を締結して設置管理する市民緑地(市民緑地契約制度)と、民間主体が市町村長による認定を受けた市民緑地設置管理計画に基づき設置管理する市民緑地(市民緑地設置管理計画の認定制度)があり、これらの制度は、土地等の所有者が自らの土地を住民の利用に供する緑地又は緑化施設として提供することを支援・促進し、緑の創出と保全を推進することを目的としているものです。

() 市民緑地契約制度は、主として土地等の所有者からの申出に基づき、地方公共団体又はみどり法人(以下、(3)において「地方公共団体等」といいます。)が当該土地等の所有者と市民緑地契約を締結し、市民緑地を設置し、これを管理することにより、土地等の所有者が自らの土地等を市民緑地として提供することを支援・促進し、緑の創出と保全を推進することを目的とした制度です。

ロ 市民緑地の用地として貸し付けられている土地の評価等

() 相続税及び贈与税の課税上、市民緑地の用地として貸し付けられている土地のうち、次の要件に該当するものの価額は、当該土地が市民緑地の用地として貸し付けられていないものとして財産評価基本通達の定めにより評価した価額から、その価額に100分の20を乗じて計算した金額を控除した金額によって評価することとなります。

A 都市緑地法第55条第1項に規定する市民緑地であること。

B 土地所有者と地方公共団体又はみどり法人との市民緑地契約に以下の定めがあること

(A) 貸付けの期間が20年以上であること

(B) 正当な事由がない限り貸付けを更新すること

(C) 土地所有者等は、貸付けの期間の中途において正当な事由がない限り土地の返還を求めることはできないこと

() 相続税及び贈与税の申告手続は、次のとおりです。

A 市民緑地の用地として貸し付けられた土地の相続人等は、①市民緑地の用地として貸し付けられている土地に該当する旨の証明願及び②継続して貸し付けることに同意する旨の申出書を当該市民緑地の設置者たる地方公共団体等に提出します。

B 当該土地が市民緑地の用地として貸し付けられている土地に該当するときには、当該市民緑地の設置者たる地方公共団体等から、①市民緑地の用地として貸し付けられている土地に該当する旨の証明書及び②継続して貸し付けることに同意する旨の申出書(受理印が付されたもの)の写しが相続人等へ交付されます。

なお、当該市民緑地の設置者がみどり法人の場合には、上記のほか、③市民緑地である旨の証明書の写し及び④市民緑地の証明に変更がない旨の証明書の写しが相続人等へ交付されます。

C 市民緑地の用地として貸し付けられた土地の相続人等は、上記Bで交付された各証明書等を添付した上で、相続税又は贈与税の申告書を提出します。

(4) 風景地保護協定が締結されている土地の評価

イ 風景地保護協定

(1) 国立公園の良好な風致景観の形成と生物多様性の確保に重要な役割を果たしている里地里山の多くは、様々な人間の働きかけを通じて環境が形成されてきた地域であり、集落を取り巻く二次林と、それらと混在する農地、ため池、草原等で構成される地域概念です。

これらの里地里山は、近年の社会経済状況の変化や農山村の人口構造の変化に伴い管理が放棄されることなどにより、植生の遷移が進行し、草原の景観が失われたり、里地里山特有の動植物が見られなくなったりするなどの質の低下が見られ、自然の風景地の保護と生物多様性の確保に支障が生じてきている一方、都市近郊周辺を中心として、放置された里山の管理などを行い里地里山の保全を図ろうとする民間団体等の気運が高まりをみせています。

国立公園においては、その区域内に特別地域等を指定して、一定の開発行為を規制し、自然の風景地の保護を図っているところですが、これらの里地里山を始めとする自然の風景地を保全し維持管理するためには、従来からの規制的手法のみでは限界があります。

(2) 風景地保護協定は、環境大臣又は地方公共団体若しくは自然公園法第49条第1項の規定に基づき指定された公園管理団体(以下、(4)において併せて「公園管理団体等」といいます。)が、国立公園内の自然の風景地について土地の所有者等により十分な管理を行うことが困難な場合等に、土地の所有者等との間で自然の風景地の保護のための管理に関する協定(風景地保護協定)を締結し、当該土地の所有者等に代わり自然の風景地の管理を行う制度です。

なお、都道府県立自然公園においても、自然公園法第74条の規定により風景地保護協定を締結することができる旨を条例に定めることができることとされています。

ロ 風景地保護協定が締結されている土地の評価等

() 相続税及び贈与税の課税上、次の要件の全てを満たす風景地保護協定が締結されている土地については、風景地保護協定区域内の土地でないものとして財産評価基本通達の定めにより評価した価額から、その価額に100分の20を乗じて計算した金額を控除して評価します。

A 自然公園法第43条第1項に規定する風景地保護協定区域内の土地であること

B 風景地保護協定に次の事項が定められていること

(A) 貸付けの期間が20年であること

(B) 正当な事由がない限り貸付けを更新すること

(C) 土地所有者は、貸付けの期間の中途において正当な事由がない限り土地の返還を求めることはできないこと

() 相続税及び贈与税の申告手続は、次のとおりです。

A 風景地保護協定土地として貸し付けられた土地の相続人等は、風景地保護協定土地として貸し付けられている土地に該当する旨の証明願を当該風景地保護協定区域内の自然の風景地の管理者たる公園管理団体等に提出します。

B 当該土地が風景地保護協定土地として貸し付けられている土地に該当するときには、当該風景地保護協定区域内の風景地の管理者たる公園管理団体等から、①風景地保護協定土地として貸し付けられている土地に該当する旨の証明書が相続人等へ交付されます。

なお、当該管理協定土地の管理が公園管理団体の場合には、上記のほか、②風景地保護協定区域内の土地である旨の証明書の写し及び③風景地保護協定区域内の土地である旨の証明に変更がない旨の証明書の写しが相続人等へ交付されます。

C 風景地保護協定土地として貸し付けられた土地の相続人等は、上記Bで交付された各証明書等を添付した上で、相続税又は贈与税の申告書を提出します。

(5) 生物多様性維持協定が締結されている土地の評価

イ 生物多様性維持協定

() 里地、里山、企業緑地、都市の緑地等の身近な自然は、生態系の構成要素として、また、国民の自然への接点として、重要な役割を有していますが、人口減少等による自然を管理する担い手不足や、新たな土地利用需要による開発・転用等により、そうした自然が失われ、生物多様性の損失の一因となっています。

() 生物多様性維持協定制度は、地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律第11条第1項の認定を受けた市町村(以下、(5)において「認定連携市町村」といいます。)が、同項の認定を受けた連携増進活動実施計画(同法第12条第1項の規定による変更の認定又は同条第2項による変更の届出があったときはその変更後のものをいい、以下「認定連携増進活動実施計画」といいます。)の実施のため必要があると認めるときに、認定連携市町村、同法第15条第1項に規定する認定連携活動実施者、当該認定連携増進活動実施計画の実施区域内の土地の所有者等の3者で「生物多様性維持協定」を締結して、当該土地の区域内において、同法第2条第4項に規定する連携地域生物多様性増進活動を行うことができる制度です。

なお、生物多様性維持協定を締結した場合には、同法第26条において、いわゆる承継効が規定されており、協定締結後に、相続等や売買により土地の所有者等が変わった場合にも、協定の効力が及ぶこととなります。

ロ 生物多様性維持協定が締結されている土地の評価等

() 相続税及び贈与税の課税上、次の要件の全てを満たす生物多様性維持協定が締結されている土地については、生物多様性維持協定区域内の土地でないものとして財産評価基本通達の定めにより評価した価額から、その価額に100分の20を乗じて計算した金額を控除して評価します。

A 地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律第22条第1項に規定する生物多様性維持協定区域内の土地であること

B 生物多様性維持協定に次の事項が定められていること

(A) 貸付けの期間が20年であること

(B) 正当な事由がない限り貸付けを更新すること

(C) 土地所有者は、貸付けの期間の中途において正当な事由がない限り土地の返還を求めることはできないこと

() 相続税及び贈与税の申告手続は、次のとおりです。

A 生物多様性維持協定区域内の土地として貸し付けられた土地の相続人等は、生物多様性維持協定区域内の土地として貸し付けられている土地に該当する旨の証明願を当該生物多様性維持協定を締結した認定連携市町村に提出します。

B 当該土地が生物多様性維持協定区域内の土地として貸し付けられている土地に該当するときには、当該認定連携市町村から、生物多様性維持協定区域内の土地として貸し付けられている土地に該当する旨の証明書が相続人等へ交付されます。

C 生物多様性維持協定区域内の土地として貸し付けられた土地の相続人等は、上記Bで交付された証明書を添付した上で、相続税又は贈与税の申告書を提出します。

 

 

作成日:令和7年9月24