(所・贈)-01_負担付贈与に係る課税関係

 

【質疑内容】

甲は、その子である乙に対し、時価2,000万円(財産評価基本通達に基づく評価額1,600万円)の土地(以下「本件土地」といいます。)を贈与し、その代わりに、乙は、甲の銀行からの借入金1,000万円を負担することとしました。

この場合の課税関係について説明してください。

 

【回答内容】

1 関係法令等

(1)相続税法関係

イ 相続税法第9条本文は、対価を支払わないで、又は著しく低い価格の対価で利益を受けた場合においては、当該利益を受けた時において、当該利益を受けた者が、当該利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額を、当該利益を受けさせた者から贈与により取得したものとみなす旨規定しています。

ロ 相続税法第21条の2《贈与税の課税価格》第1項は、贈与により財産を取得した者がその年中における贈与による財産の取得について同法第1条の4《贈与税の納税義務者》第1項第1号又は第2号の規定に該当する者である場合においては、その者については、その年中において贈与により取得した財産の価額の合計額をもつて、贈与税の課税価格とする旨規定しています。

ハ 相続税法基本通達9-11《負担付贈与等》は、負担付贈与又は負担付遺贈があった場合において当該負担額が第三者の利益に帰すときは、当該第三者が、当該負担額に相当する金額を、贈与又は遺贈によって取得したこととなるのであるから留意する旨定め、この場合において、当該負担が停止条件付のものであるときは、当該条件が成就した時に当該負担額相当額を贈与又は遺贈によって取得したことになるのであるから留意する旨定めています。

ニ 相続税法基本通達21の2-4《負担付贈与の課税価格》は、負担付贈与に係る贈与財産の価額は、負担がないものとした場合における当該贈与財産の価額から当該負担額を控除した価額によるものとする旨定めています。

ホ 平成元年3月29日付直評5ほか「負担付贈与又は対価を伴う取引により取得した土地等及び家屋等に係る評価並びに相続税法第7条及び第9条の規定の適用について」(以下「負担付贈与等通達」といいます。)の1の本文は、土地及び土地の上に存する権利(以下「土地等」といいます。)並びに家屋及びその附属設備又は構築物(以下「家屋等」といいます。)のうち、負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引により取得したものの価額は、当該取得時における通常の取引価額に相当する金額によって評価する旨定め、そのただし書は、贈与者又は譲渡者が取得又は新築した当該土地等又は当該家屋等に係る取得価額が当該課税時期における通常の取引価額に相当すると認められる場合には、当該取得価額に相当する金額によって評価することができる旨定めています。

(2) 所得税法関係

所得税法第33条《譲渡所得》第1項は、譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいう旨規定し、同条第3項は、譲渡所得の金額は、その年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となった資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする旨規定しています。

 

2 回答

(1) 負担付贈与の場合の課税関係

イ 負担付贈与とは、例えば、本質疑のように、甲が土地を贈与する代わりに乙に借入金を支払ってもらうというような契約、すなわち、受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与をいいます。

ロ 負担付贈与の場合の贈与税の課税価格は、相続税法基本通達21の2-4の定めにより、負担がないものとした場合における贈与財産の価額から負担額を控除した価額となります(その負担が経済的な価値として評価されない場合は、負担額は零円と評価され、結果的には、通常の贈与財産の価額と異ならないこととなります。)。

この場合の贈与財産の価額は、①負担付贈与により取得した財産が土地等及び家屋等の場合には、負担付贈与等通達1の定めにより、当該取得時における通常の取引価額に相当する金額、すなわち時価によって評価した価額となり、②負担付贈与によって取得した財産が土地等及び家屋等以外のものである場合には、財産評価基本通達に基づき評価した価額となります(上場株式又は気配相場等のある株式を負担付贈与により取得した場合には、これらの株式の価額は、財産評価基本通達《上場株式の評価》169(2)又は同通達174《気配相場等のある株式の評価》の(1)のロの各定めにより、課税時期における最終価格又は取引価格により評価することとなります。)。

なお、負担付贈与があった場合においてその負担額が第三者の利益に帰すとき、すなわち、その負担の利益を受ける者が贈与者以外の者である場合には、相続税法第9条の規定及び相続税法基本通達9-11の定めにより、その第三者は負担額に相当する金額を贈与により取得したこととなり、贈与税が課税されます。

ハ また、負担付贈与に係る贈与財産が譲渡所得の起因となる資産の場合には、債務の消滅を対価として当該贈与財産の所有権が移転することとなり、無償による資産の移転ではないことから、贈与者は、負担額でその贈与財産を譲渡したこととなり、譲渡益が生じる場合には、譲渡所得として所得税の対象となります。

(2) 甲の課税関係

収入金額1,000万円から本件土地の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し譲渡益が算出される場合には、譲渡所得として所得税が課税されることとなります。

(3) 乙の課税関係

本件土地の通常の取引価額(時価)2,000円から負担額1,000万円を控除した価額1,000万円に贈与税が課税されることとなります。 

 

作成日:令和7年9月24