(措)35①-02_自己の居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例(居住用土地等のみの譲渡)

 

【質疑内容】

1 事実関係

(1) ケース1

  甲は、その配偶者である乙とともに、甲が所有する〇〇市〇〇町〇丁目〇番地に所在する家屋を居住の用に供していたところ、当該家屋を取り壊した上、当該家屋の敷地の用に供されていた甲が所有する土地を譲渡しました。

(2) ケース2

  丙は、その配偶者である丁とともに、丁が所有する〇〇市〇〇町〇丁目〇番地に所在する家屋を居住の用に供していたところ、当該家屋を取り壊した上、当該家屋の敷地の用に供されていた丙が所有する土地を譲渡しました。

2 質疑事項

甲及び丙ともに、租税特別措置法第35条第1項に規定する居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例(以下「本件特例」といいます。)を適用することができますか。

 

【回答内容】

1 関係法令等

(1) 昭和46年8月26日付直資4-5「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」(以下「措置法通達」といいます。)35-2《居住用土地等のみの譲渡》は、その居住の用に供している家屋(当該家屋でその居住の用に供されなくなったものを含みます。以下同じ。)を取り壊し、その家屋の敷地の用に供されていた土地等(土地及び土地の上に存する権利をいいます。以下同じ。)を譲渡した場合(その取壊し後、当該土地等の上にその土地等の所有者が建物等を建築し、当該建物等とともに譲渡する場合を除きます。)において、当該土地等の譲渡が次に掲げる要件の全てを満たすときは、当該譲渡は、措置法第35条第2項各号に規定する譲渡に該当するものとして取り扱う旨定め、そのただし書は、その居住の用に供している家屋の敷地の用に供されている土地等のみの譲渡であっても、その家屋を引き家して当該土地等を譲渡する場合には、当該譲渡は、同項各号に規定する譲渡に該当しない旨定めています。

イ 当該土地等の譲渡に関する契約が、その家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、その家屋を居住の用に供されなくなった日以後3年を経過する日の属する年の1231日までに譲渡したものであること。

ロ その家屋を取り壊した後譲渡に関する契約を締結した日まで、貸付けその他の用に供していない当該土地等の譲渡であること。

(2) 措置法通達35-4《居住用家屋の所有者と土地の所有者が異なる場合の特別控除の取扱い》は、居住用家屋の所有者以外の者がその家屋の敷地の用に供されている土地等の全部又は一部を有している場合において、その家屋(その家屋の所有者が有する当該敷地の用に供されている土地等を含みます。)の措置法第35条第2項各号に規定する譲渡に係る長期譲渡所得の金額又は短期譲渡所得の金額(以下「長期譲渡所得の金額等」といいます。)が同条第1項の3,000万円の特別控除額に満たないときは、その満たない金額は、次に掲げる要件の全てに該当する場合に限り、その家屋の所有者以外の者が有するその土地等の譲渡に係る長期譲渡所得の金額等の範囲内において、当該長期譲渡所得の金額等から控除できるものとする旨定めています。

イ その家屋とともにその敷地の用に供されている土地等の譲渡があったこと。

ロ その家屋の所有者とその土地等の所有者とが親族関係を有し、かつ、生計を一にしていること。

ハ その土地等の所有者は、その家屋の所有者とともにその家屋を居住の用に供していること。

 

2 回答

(1) 本件特例は、「譲渡者が居住の用に供している家屋」を特例の核として構成されていることから、居住用家屋の敷地の用に供されている土地等のみの譲渡については、災害などによりその家屋が滅失した場合を除き、原則として、本件特例を適用することはできません。

しかしながら、この考え方を厳格に押し進めると、例えば、居住用家屋とその敷地の用に供されている土地等を譲渡しようとしたところ、買主から家屋を取り壊した上、土地等のみを売ってほしいというような条件が付いたため、売主がその家屋を取り壊した上、土地等だけを譲渡したというような場合、その土地等の譲渡は、家屋の譲渡を伴わないため、本件特例を適用することはできないこととなり、不動産取引の実態にそぐわない結果にもなります。

そこで、措置法通達35-2は、土地等のみの譲渡であっても、措置法通達35-2に定める所定の要件の全てを充足しているときは、本件特例を適用することができることを明らかにしたものです。

(2) また、本件特例は、「譲渡者が居住の用に供している家屋」を特例の核として構成されていることから、家屋の所有者とその敷地の用に供されている土地等の所有者が異なる場合には、当該土地等の譲渡については、原則として、本件特例を適用することはできません。

しかしながら、例えば、家屋の所有者とその敷地の所有者とが、夫婦又は親子というような親族関係にあり、かつ、これらの者がその家屋に同居し、生計を一にしているときは、その家屋とその敷地は、一つの生活共同体の居住用財産とみて特例制度を運用するのが実情に即しているものと考えられます。

そこで、措置法通達35-4は、措置法通達35-4に定める所定の要件の全てを充足している土地等の所有者の譲渡所得について、本件特例を適用することができることを明らかにしたものです。

(3) このように、本件特例は、「譲渡者が居住の用に供している家屋」を特例の核として構成されており、居住用家屋の敷地の用に供されている土地等のみの譲渡については、災害などによりその家屋が滅失した場合を除き、その家屋が現存する場合で、かつ、その家屋とともに譲渡されるその家屋の敷地の用に供されている土地等の譲渡に限り、本件特例の適用対象とされることになっており、居住用家屋の所有者と土地の所有者が異なる場合の取扱いにおいても、「その家屋とともにその敷地の用に供されている土地等の譲渡があったこと」との要件が付されています。

他方、売主が任意に家屋を取り壊した上で、土地等のみを譲渡した場合には、当該譲渡が所定の要件を充足している場合は、当該土地等のみの譲渡についても、家屋をその敷地の用に供されている土地とともに譲渡した場合に準じて、本件特例の適用を受けることができます。

このような取扱いの趣旨からすれば、措置法通達35-4に定める「その家屋とともにその敷地の用に供されている土地等の譲渡があったこと」との要件は、家屋が現存する場合を前提とした要件であるところ、措置法通達35-2の要件を充足する土地等のみの譲渡については、「その家屋とともにその敷地の用に供されている土地等の譲渡があったこと」の要件を満たすものとして取り扱うのが相当であるものと考えられます。

(4) したがって、甲及び乙ともに、(ほかの要件を充足することを前提として)本件特例を適用することができるものと考えられます。

 

 

作成日:令和7年9月24