【質疑内容】
甲は、甲が所有している〇〇市〇〇町〇丁目〇番の土地の上に、①甲が居住の用に供しているA家屋及び②A家屋に隣接し甲の子が居住の用に供しているB家屋を所有しているところ、今般、その全て(当該土地、A家屋及びB家屋)を同時に譲渡することを予定しています。
この場合、当該譲渡について、租税特別措置法(以下「措置法」といいます。)第35条第1項に規定する居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例を適用することができますか。
【回答内容】
1 関係法令等
(1) 措置法第35条第1項柱書及び同項第1号並びに同条第2項柱書及び同項第1号は、個人の有する資産が、その居住の用に供している家屋で政令で定めるものの譲渡又は当該家屋とともにするその敷地の用に供されている土地若しくは当該土地の上に存する権利(以下「土地等」といいます。)の譲渡をした場合に該当することとなった場合には、その年中にその該当することとなった全部の資産の譲渡に対する措置法第31条《長期譲渡所得の課税の特例》第1項に規定する長期譲渡所得の金額から3,000万円(長期譲渡所得の金額のうち当該資産の譲渡に係る部分の金額が3,000万円に満たない場合には当該資産の譲渡に係る部分の金額)を控除する旨規定していいます(以下、この規定による課税の特例を「本件特例」といいます。)。
(2) 租税特別措置法施行令第23条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項において準用する同令第20条の3《居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例》第2項は、措置法第35条第2項に規定する政令で定める家屋は、個人がその居住の用に供している家屋とし、その者がその居住の用に供している家屋を二以上有する場合には、これらの家屋のうち、その者が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋に限るものとする旨規定しています。
2 裁判例等
国税不服審判所令和2年6月19日裁決は、二以上の家屋が併せて一構えの一の家屋であると認められるか否かについては、まず、それぞれの家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離等客観的状況によって判断すべきであり、個人及びその家族の使用状況等主観的事情は二義的に参酌すべき要素にすぎないものと解するのが相当であるから、単にこれらの家屋がその者及びその者と同居することが通常である親族等によって機能的に一体として居住の用に供されているのみでは不十分といえ、家屋の規模、構造、設備等の状況から判断して、いずれか又はそれぞれが独立の居住用家屋としては機能できないものでなければならず、したがって、二以上の家屋がそれぞれ独立の居住用家屋としての機能を有する場合には、これらの家屋を併せて一構えの一の家屋であるとは認められない旨判断しています。
3 回答
居住用家屋を二以上所有する場合には、これらの家屋のうち、その者が「主として居住の用に供していると認められる一の家屋」のみが本件特例の適用の対象となる家屋に該当します。
そして、二以上の家屋が一体として一の機能を有する「一構えの家屋」と認められる場合には、当該二以上の家屋は、「一の家屋」に該当するところ、当該二以上の家屋が併せて一構えの一の家屋であると認められるか否かについては、それぞれの家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離等客観的状況によって判断すべきであり、当該家屋の規模、構造、設備等の状況から判断して、当該二以上の家屋がそれぞれ独立の居住用家屋としての機能を有する場合には、これらの家屋を併せて一構えの一の家屋であるとは認められないこととなります。
本質疑の場合、例えば、B家屋が乙の勉強部屋や寝室のみしかなく、勉強部屋や寝室として使用されているような場合には、A家屋と一体として一の機能を有する一構えの家屋とみるのが相当であるため、その全てについて、本件特例を適用することができるものと考えられます。
しかしながら、例えば、A家屋及びB家屋が、それぞれ、複数の居室、リビング、台所、風呂及びトイレを有しているなど、それぞれ独立して居住用家屋としての機能を有している場合には、A家屋及びその敷地については本件特例を適用することができますが、B家屋及びその敷地については本件特例を適用することはできないものと考えられます。
作成日:令和7年9月24日
