【質疑内容】
相続財産に係る株式をその発行した非上場会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例の概要について説明してください。
【回答内容】
1 関係法令等
租税特別措置法第9条の7《相続財産に係る株式をその発行した非上場会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例》第1項は、相続又は遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含みます。以下この項において同じ。)による財産の取得(相続税法又は租税特別措置法第70条の7の3若しくは第70条の7の7の規定により相続又は遺贈による財産の取得とみなされるものを含みます。)をした個人で当該相続又は遺贈につき相続税法の規定により納付すべき相続税額があるものが、当該相続の開始があった日の翌日から当該相続に係る同法第27条第1項又は第29条第1項の規定による申告書(これらの申告書の提出後において同法第4条第1項に規定する事由が生じたことにより取得した資産については、当該取得に係る同法第31条第2項の規定による申告書)の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に当該相続税額に係る課税価格(同法第19条又は第21条の14から第21条の18までの規定の適用がある場合には、これらの規定により当該課税価格とみなされた金額)の計算の基礎に算入された金融商品取引法第2条第16項に規定する金融商品取引所に上場されている株式その他これに類するものとして政令で定める株式を発行した株式会社以外の株式会社(以下この項において「非上場会社」という。)の発行した株式をその発行した当該非上場会社に譲渡した場合において、当該譲渡をした個人が当該譲渡の対価として当該非上場会社から交付を受けた金銭の額が当該非上場会社の法人税法第2条第16号に規定する資本金等の額のうちその交付の基因となった株式に係る所得税法第25条第1項に規定する株式に対応する部分の金額を超えるときは、その超える部分の金額については、同項の規定は、適用しない旨規定しています(以下租税特別措置法第9条の7第1項に規定する課税の特例を「本件特例」といいます。)。
2 本件特例の概要
個人がその所有する非上場株式をその発行会社に譲渡して、発行会社から対価として金銭その他の資産の交付を受けた場合、原則としてその交付を受けた金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額がその発行会社の資本金等の額のうち、その交付の基因となった株式に対応する部分の金額を超えるときは、その超える部分の金額は配当所得とみなされて所得税が課税されます。
本件特例は、相続又は遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含み、以下「相続等」といいます。)により非上場株式を取得し、その相続等について納付すべき相続税額がある個人が、その相続の開始があった日の翌日からその相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に、当該非上場株式をその発行会社に譲渡した場合において、その譲渡対価の額がその譲渡した非上場株式に係る資本金等の額を超えるときは、その超える部分の金額については、みなし配当課税を行わずに全額を非上場株式の譲渡所得の収入金額とする特例です。
本件特例を適用すると、その譲渡対価の額の全額が非上場株式の譲渡所得の収入金額となり、その収入金額から取得費および譲渡に要した費用を控除して計算した譲渡所得の金額に対して所得税が課税されます。
また、取得費を計算する際には、租税特別措置法第39条に規定する相続財産を譲渡した場合の取得費の特例の適用を併用することが可能です。
3 本件特例の適用の手続
本件特例を適用するためには、非上場株式をその発行会社に譲渡する日までに「相続財産に係る非上場株式をその発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例に関する届出書」を発行会社に提出する必要があります。
なお、発行会社は、譲り受けた日の属する年の翌年1月31日までに本店または主たる事務所の所轄税務署長にこの届出書を提出する必要があります。
【参考】
「取得価額=資本金等の額」となることが多いことから、本件特例を適用しない場合には、資本金等の額を超える部分の全てが配当所得の金額となり、譲渡所得の金額は零円となります。そうすると、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例は譲渡所得の課税の特例であることから、配当所得に当該特例を適用することはできません。
他方、本件特例を適用すれば、譲渡所得となることから、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例を適用することができます。
また、対象となる非上場会社の経営権を維持したまま、相続税の納税資金を調達することもできます。
作成日:令和7年9月24日
