相続税対策(相続税の非課税規定)

1 相続税法における相続税の非課税財産

相続税法第12条《相続税の非課税財産》第1項は、次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない旨規定しています(一部、一般的でないものを省略しています。)。

(1) 墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの(第2号)

(2) 相続人の取得した相続税法第3条《相続又は遺贈により取得したものとみなす場合》第1項第1号に掲げる保険金(条例の規定により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する共済制度で政令で定めるものに基づいて支給される給付金を受ける権利を除きます。)については、イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、イ又はロに定める金額に相当する部分(第5号)

イ 相続税法第3条第1項第1号の被相続人の全ての相続人が取得した同号に掲げる保険金の合計額が500万円に当該被相続人の同法第15条《遺産に係る基礎控除》第2項に規定する相続人の数を乗じて算出した金額(ロにおいて「保険金の非課税限度額」といいます。)以下である場合には、当該相続人の取得した保険金の金額

ロ イに規定する合計額が当該保険金の非課税限度額を超える場合には、当該保険金の非課税限度額に当該合計額のうちに当該相続人の取得した保険金の合計額の占める割合を乗じて算出した金額

(3) 相続人の取得した相続税法第3条第1項第2号に掲げる給与(以下「退職手当金等」といいます。)については、イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、イ又はロに定める金額に相当する部分(第6号)

イ 相続税法第3条第1項第2号の被相続人の全ての相続人が取得した退職手当金等の合計額が500万円に当該被相続人の同法第15条第2項に規定する相続人の数を乗じて算出した金額(ロにおいて「退職手当金等の非課税限度額」という。)以下である場合には、当該相続人の取得した退職手当金等の金額

ロ イに規定する合計額が当該退職手当金等の非課税限度額を超える場合には、当該退職手当金等の非課税限度額に当該合計額のうちに当該相続人の取得した退職手当金等の合計額の占める割合を乗じて算出した金額

 

2 相続税法における相続税の非課税規定の活用

(1) 相続税法第12条第1項第1号(墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの)

相続税法第12条第1項第2号に規定する祭具等は、日常礼拝尊崇されているものであることなどから、相続税法上非課税財産とされています。

相続税法第12条第1項第2号に規定する「墓所、霊びょう」とは、墓地、墓石及びおたまやのようなものをいい、これらのほか、これらのものの尊厳の維持に要する土地その他の物件も含みます。また、同法第12条第1項第2号に規定する「これらに準ずるもの」とは、庭内神し、神たな、神体、神具、仏壇、位はい、仏像、仏具、古墳等で日常礼拝の用に供しているものをいいますが、商品、骨とう品又は投資の対象として所有するものはこれには含まれません(相続税法基本通達12-1《「墓所、霊びょう」の意義》及び12-2《祭具等の範囲》)。

例えば、墓地、墓石や仏壇などの購入を検討している場合、被相続人の生前中に購入しておくと、その分相続財産を減らすことができますが、この場合、相続税法第13条《債務控除》第3項本文の規定により、同法第12条第1項第2号に掲げる財産の取得、維持又は管理のために生じた債務の金額は、債務控除をすることができないため、相続開始日までにその全額の支払を済ませておく必要があります。

(2) 相続税法第12条第1項第5号(生命保険金等)

被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金(偶然な事故に基因する死亡に伴い支払われるものに限られます。)で、その保険料の全部又は一部を被相続人が負担していたものは、相続又は遺贈により取得したものとみなされて、相続税の課税対象となりますが、このうち、受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません。)である場合には、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分は非課税とされています。

例えば、相続人が配偶者及び子2人の合計3人の場合、「500万円×3人=1,500万円」が非課税となるため、現金や預貯金等で保有している場合に比べ、相続財産を1,500万円減らすことができます(納税資金の確保にも繋がります。)。

この非課税規定の活用に当たっては、この死亡保険金の受取人が、相続人ではない者(代襲相続人ではない孫等)、相続を放棄した者及び相続権を失った者の場合は、非課税規定の対象外であることに注意してください。また、上記の「法定相続人の数」は、相続税法第15条第2項に規定する相続人の数をいいますので、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいい、法定相続人の中に養子がいる場合には、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなることにも注意してください。

(3) 相続税法第12条第1項第6号(退職手当等金等)

被相続人の死亡によって、被相続人に支給されるべきであった退職手当金等を受け取る場合で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続又は遺贈により取得したものとみなされて、相続税の課税対象となりますが、このうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分は非課税とされています。

例えば、小規模企業共済制度(国の機関である中小機構が運営する共済制度で、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度)により、共済契約者に相続が開始し、遺族が共済金を受け取る場合には、退職手当金等として、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分は非課税となるほか、その掛金は全額を社会保険料として所得控除の対象となります。また、例えば、被相続人が非上場会社の経営者だった場合、被相続人が保有していた当該会社の株式も相続財産として相続税の対象となりますが、その際に死亡退職金を未払退職金として純資産価額の計算上負債とすることができますので、その分当該会社の株式の価額を減らすこともできます。

この非課税規定の活用に当たっては、上記(2)と同様、この退職手当金等の受取人が、相続人ではない者(代襲相続人ではない孫等)、相続を放棄した者及び相続権を失った者の場合は、非課税規定の対象外であることに注意してください。また、上記の「法定相続人の数」は、相続税法第15条第2項に規定する相続人の数をいいますので、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいい、法定相続人の中に養子がいる場合には、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなることにも注意してください。

 

作成日:令和7年9月24