21の17-01_相続時精算課税における相続税の納付義務の承継等

 

【質疑内容】

相続時精算課税における相続税の納付義務の承継等について説明してください。

 

【回答内容】

1 関係法令等

(1) 国税通則法関係

イ 国税通則法第5条《相続による国税の納付義務の承継》第1項前段は、相続(包括遺贈を含みます。以下同じ。)があった場合には、相続人(包括受遺者を含みます。以下同じ。)又は民法第951条《相続財産法人の成立》の法人は、その被相続人(包括遺贈者を含みます。以下同じ。)に課されるべき、又はその被相続人が納付し、若しくは徴収されるべき国税(その滞納処分費を含みます。)を納める義務を承継する旨規定し、その後段は、相続人が限定承認をしたときは、その相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみその国税を納付する責めに任ずる旨規定しています。

ロ 国税通則法第5条第2項は、同条第1項前段の場合において、相続人が2人以上あるときは、各相続人が同項前段の規定により承継する国税の額は、同項の国税の額を民法第900条《法定相続分》から第902条《遺言による相続分の指定》までの規定によるその相続分により按あん分して計算した額とする旨規定しています。

ハ 国税通則法第5条第3項は、同条第2項の場合において、相続人のうちに相続によって得た財産の価額が同項の規定により計算した国税の額を超える者があるときは、その相続人は、その超える価額を限度として、他の相続人が同条第1項及び2項の規定により承継する国税を納付する責めに任ずる旨規定しています。

(2) 相続税法関係

イ 相続税法第21条の17《相続時精算課税に係る相続税の納付義務の承継等》第1項本文は、特定贈与者の死亡以前に当該特定贈与者に係る相続時精算課税適用者が死亡した場合には、当該相続時精算課税適用者の相続人(包括受遺者を含みます。以下同じ。)は、当該相続時精算課税適用者が有していた同法第2章《課税価格、税率及び控除》第3節《相続時精算課税》の規定の適用を受けていたことに伴う納税に係る権利又は義務を承継する旨規定し、そのただし書は、当該相続人のうちに当該特定贈与者がある場合には、当該特定贈与者は、当該納税に係る権利又は義務については、これを承継しない旨規定しています。

ロ 相続税法第21条の17第2項は、同条第1項本文の場合において、相続時精算課税適用者の相続人が限定承認をしたときは、当該相続人は、相続により取得した財産(当該相続時精算課税適用者からの遺贈又は贈与により取得した財産を含みます。)の限度においてのみ同項の納税に係る権利又は義務を承継する旨規定しています。

ハ 相続税法第21条の17第3項は、国税通則法第5条第2項及び第3項の規定は、相続税法第21条の17の規定により相続時精算課税適用者の相続人が有することとなる同条第1項の納税に係る権利又は義務について、準用する旨規定しています。

ニ 相続税法第21条の17第4項は、同条第1項ないし第3項の規定は、第1項の権利又は義務を承継した者が死亡した場合について、準用する旨規定しています。

ホ 相続税法第21条の18第1項は、贈与により財産を取得した者(以下、この条において「被相続人」といいます。)が同法第21条の9《相続時精算課税の選択》第1項の規定の適用を受けることができる場合に、当該被相続人が同条第2項の規定による同項の届出書(以下「相続時精算課税選択届出書」といいます。)の提出期限前に相続時精算課税選択届出書を提出しないで死亡したときは、当該被相続人の相続人(当該贈与をした者を除きます。以下この条において同じ。)は、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内(相続人が国税通則法第117条《納税管理人》第2項の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に、政令で定めるところにより、相続時精算課税選択届出書を当該被相続人の納税地の所轄税務署長に共同して提出することができる旨規定しています。

ヘ 相続税法第21条の18第2項は、同条第1項の規定により相続時精算課税選択届出書を提出した相続人は、被相続人が有することとなる同条第1項の規定の適用を受けることに伴う納税に係る権利又は義務を承継する旨規定し、この場合において、相続税法第21条の17第2項及び第3項の規定を準用する旨規定しています。

ト 相続税法第21条の18第3項は、同条第1項の規定により相続時精算課税選択届出書を提出することができる被相続人の相続人が相続時精算課税選択届出書を提出しないで死亡した場合には、同法第21条の18第1項及び第2項の規定を準用する旨規定しています。

(3) 相続税法施行令関係

相続税法施行令第5条の5は、相続税法第21条の17第3項の規定により国税通則法第5条第2項及び第3項の規定を準用する場合には、同条第2項中「各相続人」とあるのは「各相続人(相続人のうちに相続税法第21条の9第5項に規定する特定贈与者(以下この条において「特定贈与者」といいます。)がある場合には、当該特定贈与者を除きます。)」と、「その相続分」とあるのは「その相続分(相続人のうちに特定贈与者がある場合には、当該特定贈与者がないものとして計算した相続分)」と、同条第3項中「その相続人」とあるのは「その相続人(相続人のうちに特定贈与者がある場合には、当該特定贈与者を除きます。)」と読み替えるものとする旨規定しています。

(4) 相続税法基本通達関係

イ 相続税法基本通達2117-1《承継される納税に係る権利又は義務》は、相続時精算課税適用者の相続人(包括受遺者を含み、特定贈与者を除きます。)が特定贈与者の死亡前に死亡した場合には、相続税法第21条の17第4項の規定により、当該相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税の適用を受けていたことに伴う納税に係る権利又は義務(以下「相続時精算課税の適用に伴う権利義務」といいます。)は、当該相続人の相続人(以下「再承継相続人」といいます。)に承継されるが、再承継相続人が当該特定贈与者の死亡前に死亡した場合には、当該相続時精算課税の適用に伴う権利義務は当該再承継相続人の相続人には承継されず消滅することになるのであるから留意する旨定めています。

ロ 相続税法基本通達2117-3《相続人が特定贈与者のみである場合》は、相続時精算課税適用者の相続人が特定贈与者のみである場合には、相続時精算課税の適用に伴う権利義務は当該特定贈与者及び当該相続時精算課税適用者の民法第889条《直系尊属及び兄弟姉妹の相続権》の規定による後順位の相続人となる他の者には承継されないのであるから留意し、したがって、この場合には、当該特定贈与者の死亡に係る当該相続時精算課税適用者の相続税の申告は必要がないこととなる旨定めています。

ハ 相続税法基本通達2117-4《限定承認をした場合の承継》は、相続税法第21条の17第2項は、特定贈与者の死亡に係る相続税額の計算において算出された相続時精算課税適用者の相続税額を当該相続時精算課税適用者の相続人が納付する場合のその限度額について規定しているものであり、当該相続時精算課税適用者に係る納付すべき相続税額の計算方法についての規定ではないことに留意する旨定めています。

ニ 相続税法基本通達2118-1《相続人が特定贈与者のみである場合》は、贈与により財産を取得した者の相続人が当該贈与をした者のみである場合には、相続時精算課税選択届出書を提出することはできないのであるから留意する旨定めています。

ホ 相続税法基本通達2118-2《相続人が2人以上いる場合》は、相続税法第21条の18第1項の規定による相続時精算課税選択届出書を提出しようとする相続人(贈与者を除きます。)が2人以上いる場合の当該相続時精算課税選択届出書の提出は、一の相続時精算課税選択届出書に当該相続人全員が連署して行うのであるが、当該相続人のうち1人でも欠けた場合には、相続時精算課税の適用を受けることはできないのであるから留意する旨定めています。

 

2 回答

(1) 相続時精算課税適用者が特定贈与者よりも先に死亡した場合

イ 相続時精算課税適用者が特定贈与者の死亡前に死亡した場合には、その相続時精算課税適用者の相続人(包括受遺者を含み、その特定贈与者を除きます。)は、その相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税の適用に伴う権利義務を承継することとなります。この場合において、相続時精算課税適用者の相続人(包括受遺者を含み、その特定贈与者を除きます。)が2人以上いる場合の各相続人が承継する相続時精算課税の適用に伴う権利義務の割合は、遺産分割にかかわらず民法第900条から第902条までに規定する相続分(相続時精算課税適用者の相続人のうちに特定贈与者がある場合には、当該特定贈与者がないものとして相続分を計算します。)により按分した金額となります。

なお、相続時精算課税適用者の相続人が特定贈与者のみである場合には、相続時精算課税の適用に伴う権利義務はその特定贈与者及び相続時精算課税適用者の民法第889条の規定による後順位の相続人となる者には承継されず消滅することとなります。

ロ 特定贈与者の死亡以前にその特定贈与者に係る相続時精算課税適用者が死亡したことから、その相続時精算課税適用者の相続人(包括受遺者を含み、その特定贈与者を除きます。)が相続時精算課税の適用に伴う権利義務を承継している場合において、その相続人(以下「承継相続人」といいます。)が特定贈与者より先に死亡したときには、再承継相続人(その承継相続人の相続人(包括受遺者を含み、特定贈与者を除きます。))は、その相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税の適用に伴う権利義務を承継することとなりますが、再承継相続人が特定贈与者より先に死亡した場合には、その相続時精算課税の適用に伴う権利義務はその再承継相続人の相続人には承継されず消滅することとなります。

ハ 相続時精算課税適用者が死亡した後にその特定贈与者が死亡した場合には、相続時精算課税適用者の相続人(包括受遺者を含み、その特定贈与者を除きます。)が、その相続時精算課税適用者に代わって、特定贈与者の死亡に係る相続税の申告をすることとなりますが、その申告をするまでは、納付すべき税額が算出されるか、あるいは還付を受けることができる税額が算出されるかが明らかでないことから、相続時精算課税適用者の死亡に係る相続税額の計算においては、この相続時精算課税の適用に伴う納税に係る義務は、当該相続時精算課税適用者の死亡に係る相続税の課税価格の計算上、債務控除の対象とはなりません。

(2) 受贈者が贈与税の申告期限前に相続時精算課税選択届出書を提出しないで死亡した場合

イ 受贈者(贈与により財産を取得した者)が相続時精算課税の適用を受けることができる場合において、当該受贈者が贈与税の申告期限前に相続時精算課税選択届出書を提出しないで死亡したときは、当該受贈者の相続人(包括受遺者を含み、当該贈与に係る贈与者を除きます。)は、当該相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に当該受贈者に代わって相続時精算課税選択届出書を提出することができます。

なお、この相続人からは当該財産の贈与者が除かれていることから、受贈者の相続人が贈与者のみである場合には相続時精算課税選択届出書の提出はできません。

ロ また、上記イの本文の場合において、当該相続時精算課税選択届出書を提出する場合には、当該相続人全員が一の当該相続時精算課税選択届出書に連署して行うことが要件とされていることから、当該受贈者の相続人が2人以上いる場合に、そのうち1人の相続人が連署に同意しないときには相続時精算課税の適用は受けられないこととなります。

 

 

作成日:令和7年12月3日