21の12-01_申告漏れ財産があった場合の相続時精算課税に係る贈与税の特別控除の適用

 

【質疑内容】

1 事実関係

(1) 甲は、令和X年中に、父から、〇〇市〇〇町〇丁目〇番に所在する土地の贈与を受け、相続時精算課税の適用を受けるとして、法定申告期限までに、相続時精算課税選択届出書(添付書類を含みます。)とともに、贈与税の申告書を提出しました。

(2) その後、甲は、令和X年中に、父から、現金の贈与も受けていたことを思い出しました。

2 質疑事項

甲は、令和X年分の贈与税の修正申告書を提出することにより、相続時精算課税に係る贈与税の特別控除を適用することができますか。

 

【回答内容】

1 関係法令等

(1) 相続税法第21条の9《相続時精算課税の選択》第1項は、贈与により財産を取得した者がその贈与をした者の推定相続人(その贈与をした者の直系卑属である者のうちその年1月1日において18歳以上であるものに限ります。)であり、かつ、その贈与をした者が同日において60歳以上の者である場合には、その贈与により財産を取得した者は、その贈与に係る財産について、同法第3節《相続時精算課税》の規定の適用を受けることができる旨規定しています、

(2) 相続税法第21条の9第2項は、同条第1項の規定の適用を受けようとする者は、政令で定めるところにより、同法第28条《贈与税の申告書》第1項の期間内に同法第21条の9第1項に規定する贈与をした者からのその年中における贈与により取得した財産について同項の規定の適用を受けようとする旨その他財務省令で定める事項を記載した届出書(以下「相続時精算課税選択届出書」といいます。)を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない旨規定しています(以下、相続時精算課税選択届出書を提出した者を「相続時精算課税適用者」といい、相続時精算課税選択届出書に係る同項の贈与をした者を「特定贈与者」といいます。)。

(3) 相続税法第21条の12《相続時精算課税に係る贈与税の特別控除》第1項は、相続時精算課税適用者がその年中において特定贈与者からの贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、特定贈与者ごとの同法第21条の11の2《相続時精算課税に係る贈与税の基礎控除》第1項の規定による控除後の贈与税の課税価格からそれぞれ次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を控除する旨規定しています。

イ 2,500万円(既に相続税法第21条の12の規定の適用を受けて控除した金額がある場合には、その金額の合計額を控除した残額)

ロ 特定贈与者ごとの相続法第21条の11の2第1項の規定による控除後の贈与税の課税価格

(4) 相続税法第21条の12第2項は、同条第1項の規定は、期限内申告書に同項の規定により控除を受ける金額、既に同項の規定の適用を受けて控除した金額がある場合の控除した金額その他財務省令で定める事項の記載がある場合に限り、適用する旨規定しています。

(5) 相続税法第21条の12第3項は、税務署長は、同条第1項の財産について同条第2項の記載がない期限内申告書の提出があった場合において、その記載がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは、その記載をした書類の提出があった場合に限り、同条第1項の規定を適用することができる旨規定しています。

(6) 相続税法施行規則第12条《相続時精算課税に係る贈与税の特別控除》柱書は、相続税法第21条の12第2項に規定する財務省令で定める事項は、同条第1項の規定により控除を受けようとする者の特定贈与者ごとの次に掲げる事項とする旨規定しています。

イ 相続税法第21条の12第1項の規定の適用を受けようとする年分の当該特定贈与者に係る贈与税の課税価格、同法第21条の11の2第1項の規定により控除する金額及び贈与税額その他の贈与税の額の計算に関する明細

ロ 相続時精算課税選択届出書の提出をした税務署の名称及びその提出に係る年分

ハ 既に当該特定贈与者からの贈与により取得した財産について相続法第21条の12第1項の規定の適用を受けて控除した金額がある場合には、当該控除を受けた年分及び当該控除を受けた年分の贈与税の申告書を提出した税務署の名称

ニ その他参考となるべき事項

 

2 回答

相続時精算課税に係る贈与税の特別控除は、贈与税の期限内申告書に控除を受ける金額その他の必要事項の記載がある場合に限り適用することができることとされているおり、また、相続時精算課税の適用を受ける財産について必要事項の記載がない贈与税の期限内申告書の提出があった場合において、その記載がなかったことについてやむを得ない事情があると税務署長が認めるときには、その記載をした書類の提出があった場合に限り、特別控除をすることができることとされている。

そうすると、申告期限後に申告漏れ財産を把握した場合には、期限内申告書に特別控除の適用を受けようとする財産としてその申告漏れ財産の記載がないことから、特別控除の適用を受けることはできません。他方、申告期限後に申告した財産について評価誤りがあった場合には、期限内申告書に特別控除の適用を受けようとする財産として既に記載があることから、正しい控除を受ける金額の記載がなかったことについてやむを得ない事情があると税務署長が認める場合には、その正しい控除金額を記載した修正申告書の提出があったときに限り、修正申告により増加する課税価格についても特別控除の適用を受けることができます。

したがって、申告漏れとなっていた現金については、期限内申告に係る申告書に特別控除の適用を受けようとする財産として記載がないことから、相続時精算課税に係る贈与税の特別控除を適用することはできません。

 

 

作成日:令和7年9月24