04-02_特別寄与料に係る相続税の課税関係

 

【質疑内容】

特別寄与料に係る相続税の課税関係について説明してください。

 

【回答内容】

1 関係法令等

(1) 民法関係

イ 民法第1050条《特別の寄与》第1項は、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び同法第891条《相続人の欠格事由》の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除きます。以下「特別寄与者」といいます。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下「特別寄与料」といいます。)の支払を請求することができる旨規定しています。

ロ 民法第1050条第2項本文は、同条第1項の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる旨規定し、そのただし書は、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6箇月を経過したとき、又は相続開始の時から1年を経過したときは、この限りでない旨規定しています。

ハ 民法第1050条第3項は、同条第2項本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める旨規定しています。

ニ 民法第1050条第4項は、特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない旨規定しています。

ホ 民法第1050条第5項は、相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に同法第900条《法定相続分》から第902条《遺言による相続分の指定》までの規定により算定した当該相続人の相続分を乗じた額を負担する旨規定しています。

(2) 相続税法関係

イ 相続税法第4条《遺贈により取得したものとみなす場合》第2項は、特別寄与者が支払を受けるべき特別寄与料の額が確定した場合においては、当該特別寄与者が、当該特別寄与料の額に相当する金額を当該特別寄与者による特別の寄与を受けた被相続人から遺贈により取得したものとみなす旨規定しています。

ロ 相続税法第10条《財産の所在》第3項は、同条第1項各号に掲げる財産及び同条第2項に規定する財産以外の財産の所在については、当該財産の権利者であった被相続人又は贈与をした者の住所の所在による旨規定しています。

ハ 相続税法第13条《債務控除》第4項は、特別寄与者が支払を受けるべき特別寄与料の額が当該特別寄与者に係る課税価格に算入される場合においては、当該特別寄与料を支払うべき相続人が相続又は遺贈により取得した財産については、当該相続人に係る課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から当該特別寄与料の額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による規定しています。

ニ 相続税法第18条《相続税額の加算》第1項は、相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続又は遺贈に係る被相続人の1親等の血族(当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失ったため、代襲して相続人となった当該被相続人の直系卑属を含みます。)及び配偶者以外の者である場合においては、その者に係る相続税額は、同法第17条《各相続人等の相続税額》の規定にかかわらず、同条の規定により算出した金額にその100分の20に相当する金額を加算した金額とする旨規定し、また、同法第18条第2項本文は、同条第1項の1親等の血族には、同項の被相続人の直系卑属が当該被相続人の養子となっている場合を含まないものとする旨規定し、そのただし書は、当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失ったため、代襲して相続人となっている場合は、この限りでない旨規定しています。

ホ 相続税法第29条《相続財産法人に係る財産を与えられた者等に係る相続税の申告書》第1項は、同法第4条第1項又は第2項に規定する事由が生じたため新たに同法第27条《相続税の申告書》第1項に規定する申告書を提出すべき要件に該当することとなった者は、同項の規定にかかわらず、当該事由が生じたことを知った日の翌日から10月以内に課税価格、相続税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない旨規定しています。

ヘ 相続税法第31条《修正申告の特則》第2項は、同法第27条若しくは同法第29条の規定による申告書又はこれらの申告書に係る期限後申告書を提出した者は、同法第4条第1項又は第2項に規定する事由が生じたため既に確定した相続税額に不足を生じた場合には、当該事由が生じたことを知った日の翌日から10月以内に修正申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない旨規定しています。

ト 相続税法第32条《更正の請求の特則》第1項柱書及び同項第7号は、相続税について申告書を提出した者又は決定を受けた者は、同法第4条第1項又は第2項に規定する事由が生じたことにより当該申告又は決定に係る課税価格及び相続税額が過大となったときは、当該事由が生じたことを知った日の翌日から4月以内に限り、納税地の所轄税務署長に対し、その課税価格及び相続税額につき更正の請求(国税通則法第23条《更正の請求》第1項の規定による更正の請求をいいます。)をすることができる旨規定しています。

チ 相続税法基本通達4-1《相続財産法人からの財産分与の時期等》のまた書は、特別寄与者が支払いを受けるべき特別寄与料の額については、民法第1050条第2項の規定により、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月を経過するまで又は相続開始の時から1年を経過するまで家庭裁判所に対し処分の請求ができることから、相続開始後相当の期間を経て確定しうることに留意する旨規定しています。

リ 相続税法基本通達4-3《相続財産法人から与えられた分与額等》は、特別寄与料の額に関し、民法第1050条の規定による支払いを受けるべき特別寄与料の額が確定した特別寄与者が、現実に当該被相続人の葬式費用を負担した場合には、分与を受けた金額又は特別寄与料の額からこれらの費用の金額を控除した価額をもって、当該分与された価額又は特別寄与料の額として取り扱う旨定めています。

ヌ 相続税法基本通達4-4《分与財産等に加算する贈与財産》は、民法第1050条の規定による支払いを受けるべき特別寄与料の額が確定した特別寄与者が、同通達19-2《法第19条第1項の規定の適用を受ける贈与》に定める加算対象期間内に被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては、相続税法第19条《相続開始前7年以内に贈与があった場合の相続税額》第1項の規定の適用があることに留意する旨定めています。

ル 相続税法基本通達10-7《特別寄与料の所在》は、特別寄与料については、相続税法第10条第1項各号に掲げる財産及び同条第2項に規定する財産のいずれにも該当しないことから、同条第3項の規定によりその所在を判定することに留意する旨定めています。

ヲ 相続税法基本通達13-8の2《特別寄与料の額が特別寄与者の課税価格に算入されない場合》は、特別寄与者が制限納税義務者に該当する場合において、支払いを受けるべき特別寄与料が相続税法第10条の規定により法施行地外にあるものとされるときは、当該特別寄与料の額は当該特別寄与者に係る相続税の課税価格に算入されないことから、相続人が支払う当該特別寄与料について、同法第13条第4項の規定の適用はないことに留意する旨定めています。

 

2 回答

(1) 特別寄与制度

民法第1050条第1項の規定により、特別寄与者(被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び同法第891条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除きます。))は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与料(特別寄与者の寄与に応じた額の金銭)の支払を請求することができます(民法第1050条第1項)。

この特別寄与料の支払については、当事者間で協議をすることとなりますが、当事者間で協議が調わないとき又は協議をすることができないときには、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月を経過するまで又は相続開始の時から1年を経過するまで家庭裁判所に対し処分の請求をすること、すなわち家庭裁判所の調停又は審判の手続を利用することができます。

(2) 相続税の課税関係

特別寄与者が支払いを受けるべき特別寄与料の額が確定した場合には、当該特別寄与者が、当該特別寄与料の額に相当する金額を当該特別寄与者による特別の寄与を受けた被相続人から遺贈により取得したものとみなさることとなります(相続税法第4条第2項)。

また、特特別寄与者が支払を受けるべき特別寄与料の額が当該特別寄与者に係る課税価格に算入される場合には、当該特別寄与料を支払うべき相続人が相続又は遺贈により取得した財産について、当該相続人に係る課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から当該特別寄与料の額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額によることとなります(相続税法第13条第4項)。

なお、支払いを受けるべき特別寄与料の額が確定した場合において、新たに相続税の申告書を提出すべき要件に該当することとなった者については当該相続税の申告書を、相続税の申告書又は期限後申告書を提出した者について既に確定した相続税額に不足が生じたときには修正申告書を、その確定したことを知った日の翌日から10月以内に納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません(相続税法第29条第1項及び同法第31条第2項)。他方、支払うべき特別寄与料の額が確定した場合において、相続税について申告書を提出した者又は決定を受けた者は、当該申告又は決定に係る課税価格及び相続税額が過大となったときは、その確定したことを知った日の翌日から4月以内に更正の請求をすることができます(相続税法第32条第1項柱書及び同項第7号)。

 

 

作成日:令和7年9月24