【質疑内容】
甲は、その所有する畑の売却に当たり、造成工事を行った上で、買主である乙に引き渡しました。
甲は、所得税及び復興特別所得税の申告に当たり、売却した畑の取得費が不明であることから、譲渡所得の金額の計算上、概算取得費を控除することとしていますが、概算取得費とは別に、当該造成工事に係る費用を控除することができますか。
【回答内容】
1 関係法令等
(1) 所得税法関係
イ 所得税法第33条《譲渡所得》第3項は、譲渡所得の金額は、その年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となった資産の取得費及び譲渡費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする旨規定しています。
ロ 所得税法第38条《譲渡所得の金額の計算上控除する取得費》第1項は、譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は、別段の定めがあるものを除き、その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額とする旨規定しています。
ハ 所得税基本通達33-7《譲渡費用の範囲》の本文は、所得税法第33条第3項に規定する譲渡費用とは、資産の譲渡に係る・・・費用(取得費とされるものを除きます。)をいう旨定めています。
ニ 所得税基本通達38-10《土地についてした防壁、石垣積み等の費用》は、埋立て、土盛り、地ならし、切土、防壁工事その他土地の造成又は改良のために要した費用の額はその土地の取得費に算入するのであるが、土地についてした防壁、石垣積み等であっても、その規模、構造等からみて土地と区分して構築物とすることが適当と認められるものの費用の額は、土地の取得費に算入しないで、構築物の取得費とすることができる旨定め、また、上水道又は下水道の工事に要した費用の額についても、同様とする旨定めています。
(2) 租税特別措置法関係
イ 租税特別措置法第31条の4《長期譲渡所得の概算取得費控除》第1項本文は、個人が昭和27年12月31日以前から引き続き所有していた土地等又は建物等を譲渡した場合における長期譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費は、所得税法第38条及び第61条《昭和27年12月31日以前に取得した資産の取得費等》の規定にかかわらず、当該収入金額の100分の5に相当する金額とする旨規定しています。
ロ 昭和46年8月26日付直資4-5ほか「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」31の4-1《昭和28年以後に取得した資産についての適用》は、租税特別措置法第31条の4第1項の規定は、昭和27年12月31日以前から引き続き所有していた土地建物等の譲渡所得の金額の計算につき適用されるのであるが、昭和28年1月1日以後に取得した土地建物等の取得費についても、同項の規定に準じて計算して差し支えないものとする旨定めています。
2 回答
売却する土地について、造成工事など区画形質の変更を加えた場合におけるその区画形質の変更のために要した費用は、その土地の改良費に該当するため、譲渡費用には当たりません。
したがって、譲渡所得の金額の計算上控除する取得費について租税特別措置法第31条の4の規定により概算取得費控除の適用を受ける場合には、同条の規定により計算した金額の別わくとしてその土地の区画形質の変更のために要した費用を譲渡所得の金額の計算上控除することはできません。
【参考】
次に掲げる取扱いが適用される場合があります。
1 所得税基本通達33-4《固定資産である土地に区画形質の変更等を加えて譲渡した場合の所得》の本文は、固定資産である林地その他の土地に区画形質の変更を加え若しくは水道その他の施設を設け宅地等として譲渡した場合又は固定資産である土地に建物を建設して譲渡した場合には、当該譲渡による所得は棚卸資産又は雑所得の基因となる棚卸資産に準ずる資産の譲渡による所得として、その全部が事業所得又は雑所得に該当する旨定め、その注書は、固定資産である土地につき区画形質の変更又は水道その他の施設の設置を行った場合であっても、①区画形質の変更又は水道その他の施設の設置に係る土地の面積(当該土地の所有者が2以上いる場合には、その合計面積)が小規模(おおむね3,000㎡以下をいいます。)であるとき又は②区画形質の変更又は水道その他の施設の設置が土地区画整理法、土地改良法等法律の規定に基づいて行われたものであるときのいずれかに該当するときは、当該土地は、なお固定資産に該当するものとして差し支えない旨定めています。
2 所得税基本通達33-5《極めて長期間保有していた土地に区画形質の変更等を加えて譲渡した場合の所得》は、土地、建物等の譲渡による所得が同通達33-4により事業所得又は雑所得に該当する場合であっても、その区画形質の変更若しくは施設の設置又は建物の建設(以下「区画形質の変更等」といいます。)に係る土地が極めて長期間引き続き所有されていたものであるときは、同通達33-4にかかわらず、当該土地の譲渡による所得のうち、区画形質の変更等による利益に対応する部分は事業所得又は雑所得とし、その他の部分は譲渡所得として差し支えない旨、この場合において、譲渡所得に係る収入金額は区画形質の変更等の着手直前における当該土地の価額とする旨定め、その注書は、当該土地、建物等の譲渡に要した費用の額は、全て事業所得又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する旨定めています。
作成日:令和7年9月4日
