【質疑内容】
1 事実関係
(1) 令和X年2月1日に死亡した甲の相続人は、甲の配偶者である乙及び甲の子である丙の2名です。
(2) 甲の相続財産には、〇〇市〇〇町〇丁目〇番に所在する土地(以下「本件土地」といいます。)が含まれていたところ、本件土地は、甲及び乙が居住の用に供していた家屋の敷地として利用されていましたが、その一部に祠のような設備(以下「本件祠」といいます。)がありました。
(3) 本件祠は、本件土地の南西側部分にあり、石やコンクリートの土台の上に設置されており、甲及び乙は、本件祠を日常的に礼拝していました。
2 質疑事項
本件祠及びその敷地は、相続税の非課税財産に該当しますか。
【回答内容】
1 関係法令等
(1) 相続税法第12条《相続税の非課税財産》第1項柱書及び同項第2号は、墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない旨規定しています。
(2) 相続税法基本通達12-1《「墓所、霊びょう」の意義》は、相続税法第12条第1項第2号に規定する「墓所、霊びょう」には、墓地、墓石及びおたまやのようなもののほか、これらのものの尊厳の維持に要する土地その他の物件をも含むものとして取り扱うものとする旨定め、同通達12-2は、同法第12条第1項第2号に規定する「これらに準ずるもの」とは、庭内神し、神たな、神体、神具、仏壇、位はい、仏像、仏具、古墳等で日常礼拝の用に供しているものをいうのであるが、商品、骨とう品又は投資の対象として所有するものはこれに含まれないものとする旨定めています。
2 裁判例等
東京地方裁判所平成24年6月21日判決は、要旨、次のとおり判断しています。
(1) 民法第897条《祭祀に関する権利の承継》第1項は、祖先祭祀、祭具承継といった伝統的感情的行事を尊重して、系譜、祭具及び墳墓の所有権は、同法896条《相続の一般的効力》の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者がこれを承継するとしていることから、相続税法第12条第1項第2号は、民法897条第1項の祭祀財産の承継の規定の精神にのっとり、また、民俗又は国民感情の上からも上記の物が日常礼拝の対象となっている点を考慮して、墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるものについて、相続税の非課税財産と規定したものと解されます。
(2) 相続税法第12条第1項第2号に規定する①「墓所」は、墓地、墓石等の墓標のほか、これらのものの尊厳の維持に要する土地その他の物件を含むと解するのが相当であり、②「霊びょう」は、祖先の霊を祀った屋舎のほか、その尊厳の維持に要する土地その他の物件を含むと解するのが相当です。また、③「祭具」とは、祖先の祭祀、日常礼拝の用に供される位はい、霊位、それらの従物などをいうものと解され、「これらに準ずるもの」には、庭内神し(一般に、屋敷内にある神の社や祠等といったご神体を祀り日常礼拝の用に供されているものをいい、ご神体とは不動尊、地蔵尊、道祖神、庚申塔、稲荷等で特定の者又は地域住民等の信仰の対象とされているものをいいます。)、神たな、神体、神具、仏壇、 位はい、仏像、仏具、古墳等で日常礼拝の用に供しているものであって、商品、骨とう品又は投資の対象として所有するもの以外のものが含まれるものと解されます。
(3) 相続税法第12条第1項第2号の趣旨並びに「墓所」及び「霊びょう」にはこれらのものの尊厳の維持に要する土地その他の物件を含むと解するのが相当であることに鑑みれば、庭内神しの敷地のように庭内神し等の設備そのものとは別個のものであっても、そのことのみを理由としてこれを一律に「これらに準ずるもの」から排除するのは相当ではなく、当該設備とその敷地、附属設備との位置関係や当該設備の敷地への定着性その他それらの現況等といった外形や、当該設備及びその附属設備等の建立の経緯・目的、現在の礼拝の態様等も踏まえた上での当該設備及び附属設備等の機能の面から、当該設備と社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地や附属設備も当該設備と一体の物として「これらに準ずるもの」に含まれるものと解すべきです。
3 回答
本件祠は、商品、骨とう品又は投資の対象として所有するものとは認められず、その外観などから、少なくとも庭内神しと認められるところ、本件祠は、石やコンクリートの土台の上に設置され、甲及び乙において日常礼拝の対象とされていたことからすれば、その敷地は、本件祠と社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある敷地と認めるのが相当であるものと考えられます。
したがって、本件祠及びその敷地は、いずれも相続税法第12条第1項第2号に規定する非課税財産に該当するものと考えられます。
作成日:令和7年9月24日
