【質疑内容】
土地の評価単位について説明してください。
【回答内容】
1 関係法令等
(1) 相続税法関係
相続税法第22条《評価の原則》は、同法第3章《財産の評価》で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価による旨規定しています。
(2) 財産評価基本通達(以下「評価通達」といいます。)関係
イ 評価通達7《土地の評価上の区分》の本文は、土地の価額は、宅地、田、畑、山林、原野、牧場、池沼、鉱泉地及び雑種地の地目(地目は、課税時期の現況によって判定します。)の別に評価する旨、そのただし書は、一体として利用されている一団の土地が2以上の地目からなる場合には、その一団の土地は、そのうちの主たる地目からなるものとして、その一団の土地ごとに評価するものとする旨、そのなお書は、市街化調整区域(都市計画法第7条《区域区分》第3項に規定する「市街化調整区域」をいいます。)以外の都市計画区域(同法第4条《定義》第2項に規定する「都市計画区域」をいいます。)で市街地的形態を形成する地域において、評価通達40《市街地農地の評価》の本文の定めにより評価する市街地農地(評価通達40-3《生産緑地の評価》に定める生産緑地を除きます。)、評価通達49《市街地山林の評価》の本文の定めにより評価する市街地山林、評価通達58-3《市街地原野の評価》の本文の定めにより評価する市街地原野又は評価通達82《雑種地の評価》の本文の定めにより評価する宅地と状況が類似する雑種地のいずれか2以上の地目の土地が隣接しており、その形状、地積の大小、位置等からみてこれらを一団として評価することが合理的と認められる場合には、その一団の土地ごとに評価するものとする旨それぞれ定めています。
また、評価通達7の注書の本文は、地目の判定は、不動産登記事務取扱手続準則第68条《地目》及び第69条《地目の認定》に準じて行う旨定め、そのただし書は、「(4)山林」には、同準則第68条の「(20)保安林」を含み、また「(10)雑種地」には、同準則第68条の「(12)墓地」から「(23)雑種地」まで(「(20)保安林」を除きます。)に掲げるものを含む旨定めています。
ロ 評価通達7-2《評価単位》の柱書は、土地の価額は、次に掲げる評価単位ごとに評価することとし、土地の上に存する権利についても同様とする旨定めています。
(イ) 宅地
宅地は、1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地をいう。以下同じ。)を評価単位とする。
(注)贈与、遺産分割等による宅地の分割が親族間等で行われた場合において、例えば、分割後の画地が宅地として通常の用途に供することができないなど、その分割が著しく不合理であると認められるときは、その分割前の画地を「1画地の宅地」とする。
(ロ) 田及び畑
田及び畑(以下「農地」という。)は、1枚の農地(耕作の単位となっている1区画の農地をいう。以下同じ。)を評価単位とする。
ただし、評価通達36-3《市街地周辺農地の範囲》に定める市街地周辺農地、評価通達40の本文の定めにより評価する市街地農地及び評価通達40-3に定める生産緑地は、それぞれを利用の単位となっている一団の農地を評価単位とする。この場合において、上記(イ)の(注)に定める場合に該当するときは、その(注)を準用する。
(ハ) 山林
山林は、1筆(地方税法第341条《固定資産税に関する用語の意義》第10号に規定する土地課税台帳又は同条第11号に規定する土地補充課税台帳に登録された1筆をいう。以下同じ。)の山林を評価単位とする。
ただし、評価通達49の本文の定めにより評価する市街地山林は、利用の単位となっている一団の山林を評価単位とする。この場合において、上記(イ)の(注)に定める場合に該当するときは、その(注)を準用する。
(ニ) 原野
原野は、1筆の原野を評価単位とする。
ただし、評価通達58-3の本文の定めにより評価する市街地原野は、利用の単位となっている一団の原野を評価単位とする。この場合において、上記(イ)の(注)に定める場合に該当するときは、その(注)を準用する。
(ホ) 牧場及び池沼
牧場及び池沼は、原野に準ずる評価単位とする。
(ヘ) 鉱泉地
鉱泉地は、原則として、1筆の鉱泉地を評価単位とする。
(ト) 雑種地
雑種地は、利用の単位となっている一団の雑種地(同一の目的に供されている雑種地をいう。)を評価単位とする。
ただし、市街化調整区域以外の都市計画区域で市街地的形態を形成する地域において、評価通達82の本文の定めにより評価する宅地と状況が類似する雑種地が2以上の評価単位により一団となっており、その形状、地積の大小、位置等からみてこれらを一団として評価することが合理的と認められる場合には、その一団の雑種地ごとに評価する。この場合において、上記(イ)の(注)に定める場合に該当するときは、その(注)を準用する。
また、評価通達7-2の注書の1は、「1画地の宅地」は、必ずしも1筆の宅地からなるとは限らず、2筆以上の宅地からなる場合もあり、1筆の宅地が2画地以上の宅地として利用されている場合もあることに留意する旨、注書の2は、「1枚の農地」は、必ずしも1筆の農地からなるとは限らず、2筆以上の農地からなる場合もあり、また、1筆の農地が2枚以上の農地として利用されている場合もあることに留意する旨、注書の3は、いずれの用にも供されていない一団の雑種地については、その全体を「利用の単位となっている一団の雑種地」とすることに留意する旨それぞれ定めています。
2 回答
(1) 土地の評価単位の判定の順序
相続税の課税方式には、大別して遺産課税方式と遺産取得者課税方式の二つの方式があるところ、現行の相続税法の課税方式は、税額の計算に当たり遺産課税方式の要素が一部取り入れられているものの、遺産取得者課税方式が採られています。
したがって、土地の評価単位は、①取得者ごと、②評価通達7の地目別及び③評価通達7-2の利用の単位の順に判定することとなります。ただし、評価通達7及び評価通達7-2には、ただし書、なお書及び注書により例外があることから、このことに留意する必要があります。
(2) 具体的な土地の評価単位の判定
イ 第1に、原則として、取得者ごとに評価単位を判定します。
その例外は、評価通達7-2に定める不合理分割です。すなわち、贈与、遺産分割等による宅地の分割が親族間等で行われた場合において、例えば、分割後の画地が宅地として通常の用途に供することができないなど、その分割が著しく不合理であると認められるときは、その分割前の画地などが評価単位となります。
ロ 第2に、評価通達7の本文の定めにより、原則として、地目の別に評価単位を判定します。
その例外の一つ目は、一体として利用されている一団の土地が2以上の地目からなる場合には、その一団の土地は、そのうちの主たる地目からなるものとして、その一団の土地が評価単位となります。
その例外の二つ目は、市街化調整区域以外の都市計画区域で市街地的形態を形成する地域において、評価通達40の本文の定めにより評価する市街地農地(生産緑地を除きます。)、評価通達49の本文の定めにより評価する市街地山林、評価通達58-3の本文の定めにより評価する市街地原野又は評価通達82の本文の定めにより評価する宅地と状況が類似する雑種地のいずれか2以上の地目の土地が隣接しており、その形状、地積の大小、位置等からみてこれらを一団として評価することが合理的と認められる場合には、その一団の土地が評価単位となります。
ハ 第3に、評価通達7-2の定めにより、原則として、①宅地は1画地の宅地、②農地は1枚の農地、③山林は1筆の山林、④原野は1筆の原野(牧場及び池沼は原野に準じます。)、⑤鉱泉地は1筆の鉱泉地及び⑥雑種地は利用の単位となっている一団の雑種地を評価単位と判定します。
その例外の一つ目は、宅地、農地、山林、原野及び雑種地(牧場及び池沼は原野に準じます。)に共通する不合理分割です。
その例外の二つ目は、農地に関するもので、評価通達36-3に定める市街地周辺農地、評価通達40の本文の定めにより評価する市街地農地及び評価通達40-3に定める生産緑地は、それぞれを利用の単位となっている一団の農地が評価単位となります。
その例外の三つ目は、山林に関するもので、評価通達49の本文の定めにより評価する市街地山林は、利用の単位となっている一団の山林が評価単位となります。
その例外の四つ目は、原野に関するもので、評価通達58-3の本文の定めにより評価する市街地原野は、利用の単位となっている一団の原野が評価単位となります(牧場及び池沼は原野に準じます。)。
その例外の五つ目は、雑種地に関するもので、市街化調整区域以外の都市計画区域で市街地的形態を形成する地域において、評価通達82の本文の定めにより評価する宅地と状況が類似する雑種地が2以上の評価単位により一団となっており、その形状、地積の大小、位置等からみてこれらを一団として評価することが合理的と認められる場合には、その一団の雑種地が評価単位となります(いずれの用にも供されていない一団の雑種地については、その全体を「利用の単位となっている一団の雑種地」となります)。
(3) 土地の評価単位の判定の総括
イ 評価通達において、土地の価額は、評価通達7の定めにより、原則として、宅地、田、畑、山林、原野、牧場、池沼、鉱泉地及び雑種地の地目の別に、そして、評価通達7-2の定めにより、評価単位ごとに評価することとされており、例えば、宅地については、利用の単位となっている1区画の宅地、雑種地については、同一の目的に供され、利用の単位となっている一団の雑種地が一つの評価単位となります。
この評価単位とは、その土地を取得した者が、その土地を使用、収益及び処分をすることができる利用単位又は処分単位であって、原則として、①所有者による自由な使用収益を制約する他者の権利(原則として使用貸借による使用借権を除きます。)の存在の有無により区分し、②他者の権利が存在する場合には、その権利の種類及び権利者の異なるごとに区分して、それを1画地の宅地又は一団の雑種地として評価するのが相当です。
したがって、土地の価額は、原則として、遺産分割後の取得者ごと、利用の単位となっている土地ごとに判定した評価単位を基に評価することとなります。
ロ また、評価単位の判定に当たっては、評価通達7-2の定めにより、遺産分割後の画地が宅地として通常の用途に供することができないなど、遺産分割等による宅地の分割が著しく不合理であると認められるときは、当該分割前の画地によるが、このような事情がない限り、分割後の画地によることとなります。これは、相続税の計算について、いわゆる法定相続分課税方式による遺産取得者課税を採用していることなどから、土地の時価の算定に当たり、遺産分割後の所有者単位で評価することが相当であるとの理由に基づくものです。
ハ さらに、評価対象地が、居住の用、事業の用と利用の単位が分かれている場合であっても、自用の宅地であれば、他者の権利(借地権、賃借権、借家権等)による制約がないので、その全体を一体として利用することが可能であるから、所有する宅地を自ら使用している場合には、居住の用か事業の用かにかかわらず、その全体を1画地の宅地として評価するのが相当です。
ニ そして、所有している宅地の一部を自ら使用し、他の部分を使用貸借により貸し付けている場合には、当該宅地の全体を1画地の宅地として評価するのが相当です。これは、使用借権が、その性質上対価を伴わないものであり、また、一般に貸主・借主間の人的つながりを基盤とするものが多く、借主としての立場が極めて弱い権利であるといえることから、宅地の評価に当たっては、このような使用借権の実態に配慮し、当該権利に客観的交換価値があるものとみてその価額を控除するのは相当でないためです。
作成日:令和7年9月24日
