【質疑内容】
1 事実関係
(1) 令和X年4月30日に死亡した甲の相続人は、甲の子である乙のみです(以下、甲の死亡により開始した相続を「本件相続」といいます。)。
(2) 甲の相続財産には、〇〇市〇〇町〇丁目〇番に所在する土地及びその上に存する8階建の共同住宅(以下「本件共同住宅」といいます。)があり、本件相続の開始日において、全室賃貸の用に供されていました。
(3) 本件共同住宅に係る賃貸借契約において、賃借人は翌月分の賃料を前月末までに支払う旨定められているところ、本件相続の開始日において、令和X年5月分の賃料は全て受領済みです。
2 質疑事項
本件相続に係る相続税の申告に当たって、令和X年5月分の賃料を前受賃料として、債務控除をすることができますか。
【回答内容】
1 関係法令等
(1) 相続税法第13条《債務控除》第1項柱書及び同項第1号は、相続又は遺贈により財産を取得した者が同法第1条の3《相続税の納税義務者》第1項第1号又は第2号の規定に該当する者である場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含みます。)の金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による旨規定しています。
(2) 相続税法第14条第1項は、同法第13条の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る旨規定しています。
2 回答
上記1の(1)及び(2)のとおり、相続又は遺贈により取得した財産について、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から被相続人の債務で相続開始の際現に存するものの金額(確実と認められるものに限ります。)のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額であるところ、前受賃料の対象となった賃貸物件を相続した相続人は、当該相続に係る被相続人が締結した賃貸借契約に基づいて、当該物件をその相続開始後も引き続き同じ条件で賃貸を継続すべき義務を当該被相続人から承継したに過ぎず、既に支払期日が到来して支払われた前受賃料の未経過分相当額の賃料を返還すべき金銭債務を負っているものではありません。
したがって、本件相続に係る相続税の申告に当たって、令和X年5月分の賃料を前受賃料として、債務控除をすることはできないものと考えられます。
作成日:令和7年9月24日