09-03_借地借家法に規定する建物の意義

 

【質疑内容】

借地借家法に規定する建物の意義

 

【回答内容】

1 関係法令等

(1) 民法関係

民法第86条《不動産及び動産》第1項は、土地及びその定着物は、不動産とする旨規定しています。

(1) 借地借家法関係

イ 借地借家法第1条《趣旨》は、この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする旨規定しています。

ロ 借地借家法第2条《定義》の柱書及び第1号は、借地権という用語の意義は、建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう旨規定しています。

(2) 不動産登記法関係

イ 不動産登記法第44条《建物の表示に関する登記の登記事項》第1項は、建物の表示に関する登記の登記事項は、同法第27条《表示に関する登記の登記事項》各号に掲げるもののほか、同法第44条第1項各号のとおりとする旨規定しています。

ロ 不動産登記規則第111条《建物》は、建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない旨規定しています。

ハ 不動産登記事務取扱手続準則第77条《建物認定の基準》柱書は、建物の認定に当たっては、次の例示から類推し、その利用状況等を勘案して判定するものとする旨定めています。

() 建物として取り扱うもの

A 停車場の乗降場又は荷物積卸場。ただし、上屋を有する部分に限る。

B 野球場又は競馬場の観覧席。ただし、屋根を有する部分に限る。

C ガード下を利用して築造した店舗、倉庫等の建造物

D 地下停車場、地下駐車場又は地下街の建造物

E 園芸又は農耕用の温床施設。ただし、半永久的な建造物と認められるものに限る。

() 建物として取り扱わないもの

A ガスタンク、石油タンク又は給水タンク

B 機械上に建設した建造物。ただし、地上に基脚を有し、又は支柱を施したものを除く。

C 浮船を利用したもの。ただし、固定しているものを除く。

D アーケード付街路(公衆用道路上に屋根覆いを施した部分)

E 容易に運搬することができる切符売場又は入場券売場等

(3) 地方税法関係

イ 地方税法第341条《固定資産税に関する用語の意義》柱書及び同条第3号は、固定資産税について、家屋という意義は、住家、店舗、工場(発電所及び変電所を含みます。)、倉庫その他の建物をいう旨規定しています。

ロ 地方税法の施行に関する取扱いについて(市町村税関係)の第3章《固定資産税》の第1節《通則》の第1《課税客体》の2は、家屋とは不動産登記法の建物とその意義を同じくするものであり、したがって登記簿に登記されるべき建物をいうものであり、例えば鶏舎、豚舎等の畜舎、堆肥舎等は一般に社会通念上家屋とは認められないと考えるので、特にその構造その他からみて一般家屋との権衡上課税客体とせざるを得ないものを除いては、課税客体とはしないものとする旨定めています。

 

2 裁判例等

(1) 最高裁判所平成4年2月6日第一小法廷判決は、要旨、次のとおり判断しています。

原審は、・・・本件施設物は、鉄道高架下施設であるが、土地に定着し、周壁を有し、鉄道高架を屋根としており、永続して営業の用に供することが可能なものであるから、借家法にいう建物に当たる・・・として、上告人の本件請求を棄却しているが、原審の右認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。

(2) 大阪高等裁判所昭和53年5月30日判決は、要旨、次のとおり判断しています。

借家法1条にいう「建物」とは土地に定着し、周壁、屋蓋を有し、住居、営業、物の貯蔵等の用に供することのできる永続性のある建造物をいうが、その限界は、結局、社会通念、立法の趣旨等に照らして決められるべきであるとされ、建物の一部であっても、障壁その他によって他の部分(他の物)と区画され、独占的排他的支配が可能な構造、規模を有するものは同条にいう「建物」であると解されている。

(3) 国税不服審判所平成18年7月11日裁決は、要旨、次のとおり判断しています。

財産評価基本通達上の家屋とは、住宅、店舗、工場その他の建物を指称しており、固定資産税の課税客体となる家屋、つまり、不動産登記法の建物とその意義を同じくするもので、建物登記簿に登記されるべき建物と同趣旨であると解される。そして、地方税法第341条及び「地方税法の施行に関する取り扱いについて」(昭和29年5月13日自乙発第22号、自治庁次官通達)並びに不動産登記事務取扱手続準則第136条第1項の定めを総合すると、「建物」の認定基準としては、①土地の定着性、②外気遮断性及び③用途性を一応要求してはいるものの、②については、少なくとも周壁については、必ずしも完全な外気遮断性があることまでをも要求するものではなく、その建築物の用途や利用状況を勘案して、完全な周壁を設けないことがその建造物の効用上合理的であり、完全な周壁を設けると帰って不都合が生じると認められる場合には、要件を緩和して認定することを妨げない趣旨であると解するのが相当である。

 

3 回答

(1) 上記1の関係法令等及び上記2の各裁判例等からすれば、借地借家法に規定する建物とは、土地に定着し、周壁及び屋根を有し、住居・営業・物の貯蔵等の用に供することができる永続性のある建造物をいうものと考えられます。すなわち、借地借家法に規定する建物に該当するか否かは、①土地への定着性(相当の期間の永続性を含みます。)、②外気分断性(外気遮断性)及び③用途性の観点から判断することとなるものと考えられます。

(2) 上記の①土地への定着性、②外気分断性(外気遮断性)及び③用途性については、次のとおりであるものと考えられます。

イ 土地への定着性

土地への定着性とは、建造物が物理的に土地に固定されており、容易に移動できない性質のこと、すなわち、基礎工事などで土地に恒久的に定着しており、容易に動かせない状態であることを意味します(なお、上記の容易に移動できないことという観点から、相当の期間の永続性も含まれるものと考えられます。)。

ロ 外気分断性(外気遮断性)

外気分断性(外気遮断性)とは、屋根や壁などによって、外部の空気と遮断できる構造になっていること、すなわち、屋根及び周壁などによって、外部から風雨を遮断し、内部の独立した空間を保つことができることを意味します。

ハ 用途性

居住、作業、貯蔵などの目的のために利用できる状態であること、すなわち、建造物が居住、作業、貯蔵などの目的で独立して利用できる空間(人や物の出入りができる空間)を確保していることを意味します。

  

 

作成日:令和7年12月3日