(措)37の12の2-11_上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除(損失発生年の翌年・所得税申告有・株式譲渡無)

  

【質疑内容】

甲は、令和X年中に、特定口座(簡易申告口座)において上場株式等に係る譲渡損失の金額200万円が生じ、当該譲渡損失の金額200万円について、「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」及び「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」を添付した上で、当該年分の所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」といいます。)の確定申告書を法定申告期限までに提出しました。

甲は、令和Ⅹ+1年に、上場株式等の譲渡はなく、上場株式等に係る譲渡所得等以外の所得の金額のみ記載した当該年分の所得税等の確定申告書を法定申告期限までに提出しました。

この場合、令和Ⅹ+1年分の所得税等の更正の請求書を提出することにより、令和X年中に生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額200万円を令和X+2年分以後に繰り越すことができますか。

 

【回答内容】

1 関係法令等

(1) 租税特別措置法(以下「措置法」といいます。)関係

イ 措置法第37条の12の2第5項は、確定申告書を提出する居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、その年の前年以前3年内の各年において生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額(この項の規定の適用を受けて前年以前において控除されたものを除きます。)を有する場合には、措置法第37条の11第1項後段の規定にかかわらず、当該上場株式等に係る譲渡損失の金額に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該確定申告書に係る年分の同項に規定する上場株式等に係る譲渡所得等の金額及び措置法第8条の4《上場株式等に係る配当所得等の課税の特例》第1項に規定する上場株式等に係る配当所得等の金額(措置法第12条の2第1項の規定の適用がある場合にはその適用後の金額。以下同じ。)を限度として、当該年分の当該上場株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等に係る配当所得等の金額の計算上控除する旨規定しています。

ロ 措置法第37条の12の2第6項は、同条第5項に規定する上場株式等に係る譲渡損失の金額とは、当該居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、平成15年1月1日以後に、上場株式等の譲渡のうち同条第2項各号に掲げる上場株式等の譲渡をしたことにより生じた損失の金額として政令で定めるところにより計算した金額のうち、その者の当該譲渡をした日の属する年分の措置法第37条の11第1項に規定する上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除してもなお控除しきれない部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額(措置法第37条の12の2第1項の規定の適用を受けて控除されたものを除きます。)をいう旨規定しています。

ハ 措置法第37条の12の2第7項は、同条第5項の規定は、同項に規定する居住者又は恒久的施設を有する非居住者が同条第6項に規定する上場株式等に係る譲渡損失の金額が生じた年分の所得税につき当該上場株式等に係る譲渡損失の金額の計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合であって、同条第5項の確定申告書に同項の規定による控除を受ける金額の計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する旨規定しています。

ニ 租税特別措置法施行令(以下「措置法施行令」といいます。)第25条の11の2《上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除》第11項は、その年の翌年以後又はその年において措置法第37条の12の2第5項の規定の適用を受けようとする場合に提出すべき所得税法第120条第1項の規定による申告書及び提出することができる同法第122条第1項又は第123条第1項の規定による申告書には、同法第120条第1項各号若しくは第122条第1項各号又は第123条第2項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を併せて記載しなければならない旨規定しています。

() その年において生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額(第1号)

() その年の前年以前3年内の各年において生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額(措置法第37条の12の2第5項の規定により前年以前において控除されたものを除きます。)(第2号)

() その年において生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額がある場合には、その年分の上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額及び措置法第37条の12の2第1項の規定を適用しないで計算した場合のその年分の上場株式等に係る配当所得等の金額(第3号)

() ()に掲げる上場株式等に係る譲渡損失の金額がある場合には、当該損失の金額を控除しないで計算した場合のその年分の上場株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等に係る配当所得等の金額(第4号)

() 措置法第37条の12の2第5項の規定により翌年以後において上場株式等に係る譲渡所得等の金額又は上場株式等に係る配当所得等の金額の計算上控除することができる上場株式等に係る譲渡損失の金額(第5号)

() ()ないし()に掲げる金額の計算の基礎その他財務省令で定める事項(第6号)

(2) 国税通則法(以下「通則法」といいます。)関係

イ 措置法第37条の12の2第10項の規定により読み替えられた通則法第2条《定義》第6号ハの柱書及び同(1)は、所得税法に規定する純損失の金額若しくは雑損失の金額又は租税特別措置法第37条の12の2第6項に規定する上場株式等に係る譲渡損失の金額の金額でその年以前において生じたもののうち、これらの法律の規定により翌年以後の年分の所得の金額の計算上順次繰り越して控除し、又は前年分の所得に係る還付金の額の計算の基礎とすることができるものの金額を純損失等の金額という旨規定しています。

ロ 通則法第23条《更正の請求》第1項柱書及び同項第2号は、納税申告書を提出した者は、当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったことにより、当該申告書に記載した純損失等の金額が過少であるとき、又は当該申告書に純損失等の金額の記載がなかったときには、当該申告書に係る国税の法定申告期限から5年以内に限り、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等につき更正をすべき旨の請求をすることができる旨規定しています。

 

2 回答

上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除が適用できる場合について、措置法第37条の12の2第5項は、確定申告書を提出する居住者等が、その年の前年以前3年内の各年において生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額を有する場合である旨規定しおり、また、措置法第37条の12の2第10項の規定により読み替えられた通則法第2条《定義》第6号ハの柱書及び同(1)の規定により、「純損失等の金額」は、租税特別措置法第37条の12の2第6項に規定する上場株式等に係る譲渡損失の金額の金額でその年以前において生じたもののうち、これらの法律の規定により翌年以後の年分の所得の金額の計算上順次繰り越して控除することができるものである旨規定しているところ、本質疑においては、令和Ⅹ+1年分の所得税等の確定申告書に、「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」を添付しておらず、令和X年分の上場株式等に係る譲渡損失の金額を令和X+2年分に繰り越すための申告をしていないことから、令和X年分の上場株式等に係る譲渡損失の金額は、令和X+1年分の確定申告書上、純損失等の金額、すなわち、これらの法律の規定により翌年以後の年分の所得の金額の計算上順次繰り越して控除することができるものには該当しません。

したがって、令和Ⅹ+1年分の所得税等の更正の請求書を提出することにより、令和X年中に生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額200万円を令和X+2年分以後に繰り越すことはできません。

 

作成日:令和7年9月24